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「映像事業に注力、Z世代向け独自コンテンツをレミノやアマゾンなどに提供していく」…NTTドコモ・スタジオ&ライブ 吉沢啓介社長

読売新聞 / 2024年11月19日 10時15分

インタビューに答えるNTTドコモ・スタジオ&ライブの吉沢社長(東京都千代田区で)

 NTTドコモが、スマートフォン向けのドラマ制作やアイドル育成といったエンターテインメント事業に力を入れている。吉本興業グループと共同出資する合弁会社、NTTドコモ・スタジオ&ライブが中心的な役割を果たす。吉沢啓介社長に狙いを聞いた。(聞き手・木瀬武)

吉本興業とシナジー

 ――合弁会社の役割は。

 「ドコモに限らず携帯電話キャリアは、モバイルインターネットの時代からコンテンツ事業に取り組んできた。ただ、別の誰かが作った映像や楽曲をライセンス契約を結んで、使わせてもらうやり方だった。

 6月にNTTドコモ社長に就任した前田(義晃)さんは、ドコモが自らコンテンツを手がけられるようにしたいと思っていた。112年の歴史を持つ吉本興業グループの力を借り、NTTグループとして史上初めて、IP(知的財産)を自ら開発して、生み出していくのが当社の役割になる」

 ――吉本興業と組んだ理由は。

 「それぞれ得意な領域やアセットがある。吉本はバラエティーやドラマ、リアリティー系の番組を含めてコンテンツを作る強力なエコシステムを築いている。音楽でも『JO1』や『ME:I』など、素晴らしいアーティストを輩出している。

 ドコモは、1億人の『dアカウント』の顧客基盤があり、国立競技場やIGアリーナ(名古屋市)といったスタジアム・アリーナの運営もしていく。動画配信サービス『レミノ』も持っている。中長期的には、NTTグループの最新技術『アイオン』をエンタメに活用することも視野に入れている。

 両社のシナジーがうまく出せれば、今までにないエンタメ会社になれる」

スマホ向け1話3分程度

 ――力を入れる事業は。

 「一つは、映像事業だ。コンテンツを作ってレミノやアマゾンなどに提供していく。例えば、年内にスマホ向けの1話3分程度のショートドラマを制作・配信する。Z世代と呼ばれる若年層らに受けるIPを展開していく。

 もう一つが音楽事業で、アーティストを一から育て、楽曲やアーティストといったIPを生み出していく。ライブの興行も主催する。いずれも国内にとどまらず、海外市場も狙っている」

 ――アーティストの発掘、育成はどう進める。

 「吉本で活躍した男性4人組の『OWV(オウブ)』というグループを、当社が今年度から本格的にマネジメントしている。我々の第1号のアーティストだ。吉本で鍛えられていて、歌と踊りとお笑いができる。

 オーディション番組も本格的に始める。10月からTBSで放送する『セブンカラーズ』では、出演する女性たちを共同生活を通じて選考し、最後は7人に絞る。我々が手がけるガールズグループの第1号になる。

 さらに、もう1組の女性グループを年度内にデビューさせたい。将来は我々が育てたアーティストを中心に音楽フェスをやりたい。ドコモのグループ会社であるタワーレコードとも連携していく」

 ――ドコモは国立競技場の運営権を獲得するなど、スタジアムやアリーナの運営にも力を入れている。

 「2023年9月、ドコモが運営する有明アリーナ(東京都江東区)で2日間のフェスを開いた。その時点で自前のIPは保有していなかったが、スタジオ&ライブの社員の人脈を活用し、結構なアーティストが一堂に会した。

 今年3月中旬にも、幕張イベントホール(千葉市)でフェスをやった。両方合わせて約3万5000人を動員できた」

ドコモショップを接点に

 ――携帯販売店のドコモショップとも連携している。

 「全国に約2000のドコモショップが、地域のお客様との接点としてある。各地域で1店舗ずつ、OWVの推し活コーナーを作ってもらった。普段はドコモショップに来ない20~30歳代の女性ファンとの接点をつくるのが狙いだ。

 こうした企画を色々な角度から練っている。我々が保有するIPが増えていくほど、そういったタイアップを提案していきたい」

 ――自前のIPはドコモのレミノに限って配信するのか。

 「そういうわけではないが、レミノは最重要なお客様だ。出すからには、従来はレミノにいなかった顧客層を開拓したい。(IPを通じて)レミノを知って有料プランに入り、ゆくゆくはドコモの大容量の料金プランを使ってもらうといった貢献をできればと思っている。

 一方で、ドコモと接点がないお客様に対しても、レミノ以外の配信事業者を通じて接点を持つことができる。当社がなかったら、一生、ドコモと接点を持たなかったかもしれないお客様とタッチポイントを作るのが大事な役割だ」

◆吉沢啓介氏(よしざわ・けいすけ) 1991年京大法卒、日本電信電話(NTT)入社。94年にNTT移動通信網(現NTTドコモ)に移り、IR部長や国際事業部長、執行役員四国支社長などを経て、2023年5月からNTTドコモ・スタジオ&ライブ社長。岡山県出身。

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