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気候変動や偽情報など社会課題学ぶ「シリアスゲーム」に世界が関心、ヒット作も

読売新聞 / 2024年11月18日 13時24分

 気候変動や偽情報、戦争といった社会課題の解決方法を、遊びながら学ぶ「シリアスゲーム」への関心が高まっている。ゲーム界ではマイナー分野と見られてきたが、ヒット作も生まれるなど、世界的に広がりつつある。(寺田航)

商品化めざす

 今月上旬、シリアスゲームのイベント「京都創造ゲームジャム」が京都市内で開かれた。在大阪・神戸米国総領事館が企画し、約60人の学生やクリエイターらが、チームや個人で試作したゲームの出来栄えを競った。

 テーマは気候変動や少子化問題、フェイクニュース対策など様々。文章の内容などから、情報が主観的なのか客観的なのかを見分け、メディアリテラシーを学ぶ新感覚のシューティングゲーム「インフォカリプス」が最優秀賞を獲得した。

 インフォカリプスはゲーム大手の支援も受け、商品化を目指す計画だ。制作に携わった大学院生の犬田悠斗さん(25)は「何かのためになるゲームを作りたかった。社会課題を解決しつつ、面白さを感じるものを世に出したい」と話す。

 欧米では2000年代から、公的機関などでシリアスゲームの開発が進み、ヒット作も生まれている。ポーランドのインディーゲーム制作会社が14年に発売した「ディスウォー・オブ・マイン」は、世界で900万本超を売り上げる。戦争をテーマにしながら、兵士ではなく、普通の市民が戦時下の生き残りを図る内容で、「戦わない戦争ゲーム」として話題を集めた。

日本ではマイナー

 ただ、家庭用ゲーム大国の日本では、シリアスゲームを、需要が限られるマイナージャンルとして見る向きが多い。

 スクウェア・エニックスは06年、教育サービス大手とシリアスゲームの開発会社を設立。地震への対処を学ぶソフトを発売するなどしたが、約3年後に解散した。業界では「教養的な要素が前に出ると『拒絶反応』が生まれて長く遊んでもらえない」(ゲーム開発者)と、敬遠する声も根強い。

 調査会社ニューズーによると、世界のゲーム市場規模は、27年に2133億ドル(約33兆円)に達する。最近は新興企業の開発したゲームなど、低予算でも個性的な作品が評価されやすい傾向があり、シリアスゲームへの関心も高まっている。

 米マイアミ大教授でゲームデザイナーのリンゼイ・グレース氏は「シリアスゲームは、医療や産業など実社会のシミュレーション(想定実験)でも活用できる。成熟したゲーム業界の中でも伸びていく余地がある分野だ」と話している。

 ◆シリアスゲーム=遊びながら社会課題の解決方法を学べるゲームで、教育・啓発の効果が高いとされる。世界食糧計画(WFP)が手がけた飢餓問題について学べるゲーム「フードフォース」などが知られている。

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