1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

かぶりたくなる自転車用ヘルメット開発へ…警視庁や学生ら、着用率低迷を「おしゃれ」で打開目指す

読売新聞 / 2024年11月18日 13時54分

 自転車のヘルメット着用率が低迷する中、警視庁が無印良品を展開する「良品計画」とヘルメットの共同開発を進めている。デザインのアイデアを考えるのは流行に敏感な学生たち。目指すのは誰もが「かぶりたい」と思う、おしゃれで安全性能の高いヘルメットだ。(中薗あずさ)

「髪形気になる」

 「前髪が崩れるのが気になるよね」「紫外線カットできるのがいいな」。東京・桜田門の警視庁本部。青山学院大の男女3人が、会議室で市販の自転車用ヘルメットを手に取り、アイデアを出し合っていた。

 3人は警視庁が良品計画や同大と進める「みんなのヘルメットプロジェクト」のメンバー。同大のサイトで募集したところ、商品開発や物作りに関心がある学生が集まり、書類審査や面接を経て12人が選ばれた。

 発足のきっかけは、昨年7月の調査で、都内の自転車ヘルメット着用率が全国平均(13・5%)を下回る10・5%だったこと。都が昨秋、非着用の理由を尋ねたアンケート(複数回答可)では、「置き場所がなく、荷物となる」(37・5%)「髪形が崩れる」(31・8%)などの声が上がった。

 警視庁は、生活雑貨が幅広い世代に支持されている良品計画に協力を呼びかけた。同社はこれまで自転車のヘルメットを販売していないが、警視庁との共同開発が「社会貢献になるなら」と参画を快諾した。

 学生のアイデアを基に、来年秋以降の製品化を目指しているという。メンバーで同大3年の北原美緒さん(21)は、「同世代の人が『かわいい』と思うヘルメットを作りたい」と語る。

致死率1・5倍

 警察庁によると、昨年までの5年間に自転車乗車中の事故で死亡した1898人のうち、54%の1023人は頭部に致命傷があった。事故時の致死率は非着用が着用の約1・5倍だった。

 頭部を守るヘルメットは、バイクの場合、道路交通法施行規則で、重量や衝撃吸収性能、視野を妨げない構造などの安全基準が定められている。だが、自転車のヘルメット着用は昨年4月施行の改正道交法で「努力義務」になったが、義務ではない。このためヘルメットについても、法令に基づく基準は設けられていない。

 国民生活センターによると、インターネット上で「自転車用」として販売されているヘルメットの中には、強度や衝撃吸収性能が不十分なものもあるという。センターでは、バイクに準じた安全基準に適合することを保証する「SGマーク」などが付いた安全性の高いヘルメットを推奨している。

 プロジェクトを担当する警視庁幹部は、「幅広く親しまれる商品の開発力とセンスのいい学生の力を借りて、ダサいと思われがちな自転車用ヘルメットのイメージアップを図りたい。生活必需品として定着させられれば」と話している。

「チャリヘル」推進へ警察あの手この手

 自転車のヘルメット着用を浸透させようと、各地の警察も知恵を絞っている。

 茨城県警石岡署は、中高生を対象にしたショート動画コンテストを開催。「チャリヘル」というキーワードを使って、ヘルメットの着用を促す動画を募集し、優秀作品を「ユーチューブ」で紹介している。

 秋田県警能代署は、自発的な着用につなげようと、今夏、地元の高校生から自転車用ヘルメットのデザイン案を募集。秋田杉などをモチーフにしたデザインの作者に優秀賞を贈った。

 自治体も対策を進める。ヘルメット大手「オージーケーカブト」(大阪)が今年2~4月に行った調査では、全国1630市区町村のうち、351市区町村が自転車用ヘルメットの購入に補助制度を設けていた。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください