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「ばたでん」に魅せられ大阪から島根に移住…体験運転2000回目は停止線にピッタリ停車、拍手

読売新聞 / 2024年11月19日 15時14分

デハニ50形の体験運転2000回を祝う花束を手に運転席に座る増田さん(10月19日、島根県出雲市で)

 一畑電車(島根県出雲市、ばたでん)が雲州平田駅(同市)で開く人気車両「デハニ50形」の体験運転会に魅せられ、島根に移住した男性がいる。広島市出身の増田義裕さん(68)(出雲市平田町)。先月には通算2000回目の運転を達成し、同社幹部から花束が贈呈された。「『ばたでん』は恋人みたいなもの」と笑顔を見せる。(佐藤祐理)

 増田さんは、一畑電車を題材にした映画「RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語」のファン。2010年の公開時は、当時住んでいた大阪から島根を訪れ、列車で沿線を巡ったという。

 乗り遅れそうな高校生のために運転士が出発を遅らせ、車窓からは広大な宍道湖や田園風景が広がる。のどかな雰囲気は映画と同じで、ばたでんのことがますます好きになった。

 国内最古級のデハニ50形の体験運転が始まったのは、映画公開翌年の11年7月のことだった。専用のハンドルを使って120メートル区間を走らせ、15センチの停止線内に止めるというもの。増田さんは初挑戦時、慌ててブレーキを掛けてしまい、2メートル手前で停止したという。

 「リベンジだ」と挑戦を続けるうち、毎週のように金曜夜は大阪を出発する夜行バスに乗り、島根へ通うようになった。13年1月6日に100回、17年10月6日に1000回を達成。それでもデハニ50形への思いは一向に冷めなかった。

 定年退職した後の18年6月には、雲州平田駅の近くに部屋を借りるまでに。さらに同社から熱意や技術が認められ、日曜の体験会でスタッフを任されるようになり、ばたでんファンから「レジェンド」として広く認識されるようになった。

 2000回目を達成した10月19日は、100回達成時に同社からプレゼントされたオリジナル制服姿で参加。「むちゃをしてオーバーランだけはしない」と心がけ、慎重に運転をして停止線内にぴったりと停止させると、全国から駆けつけた仲間らから盛んな拍手が送られた。

 記録の達成後、同社の妹尾陽樹・運輸部長から花束を受け取った増田さんは「プレッシャーがあったが、ギリギリ線の中に入って良かった。運転は全て手動で自分の腕にかかっているのが、デハニの面白いところ」と笑顔。「今度は3000回を目指して乗り続けたい」と宣言した。

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