「紀州のドン・ファン」元妻弁護側「犯人との立証はできていない」…無期懲役を求刑、判決は12月12日
読売新聞 / 2024年11月19日 8時5分
和歌山県田辺市の資産家で「紀州のドン・ファン」と呼ばれた会社経営者野崎幸助さん(当時77歳)を殺害したとして、殺人罪などに問われた元妻、須藤早貴被告(28)の裁判員裁判の公判が18日、和歌山地裁(福島恵子裁判長)であった。検察側は「野崎さんに覚醒剤を摂取させることができたのは被告以外に考えがたい」として無期懲役を求刑。弁護側は改めて無罪を主張し、結審した。判決は12月12日に言い渡される。
起訴状では、須藤被告は2018年5月24日、野崎さん宅で、何らかの方法で野崎さんに致死量の覚醒剤を飲ませて殺害したとしている。
裁判では、野崎さんが殺害されたかどうかの「事件性」と、殺害されたとして須藤被告が犯人なのかの「犯人性」が争点となった。
検察側は論告で、野崎さんは自殺を考えておらず、日常生活で覚醒剤を誤飲することはなかったと指摘。その上で、須藤被告が事件前に密売人から覚醒剤と思われるものを入手し、死亡前に野崎さんと2人きりだったとして、「被告には覚醒剤を摂取させる機会が十分にあった」と説明した。
また、野崎さんの死後、須藤被告がネットで「殺人罪 時効」「自白剤」などと検索していたことなどを挙げ、「犯人であれば自然な行動だ」と指摘。野崎さんの遺産約6800万円を相続し、高級車の購入や美容整形などで約5500万円を使っていたとして、「動機は遺産目当てで、強盗殺人と同等の悪質性がある」と述べた。
弁護側は最終弁論で、「怪しい証拠があるだけで、犯人との立証はできていない」と強調。ネットの検索や動画視聴を頻繁に行う須藤被告が、覚醒剤の飲ませ方を調べた検索履歴が残っていない点を踏まえ、「溶かす手間がかかり、苦みもある覚醒剤を意思に反して摂取させることは困難だ」と述べ、野崎さんが誤飲した可能性があるとした。
検察側が主張した検索履歴については「多数の検索ワードから事件に関係すると思うものを抜粋し、証拠として出しただけだ」と反論した。
最終意見陳述で、須藤被告は「ちゃんと証拠を見て判断していただきたい」と述べた。
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