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「易しい言葉だけど無限のスケール」、国を超えて愛された日本語の詩…谷川俊太郎さん死去

読売新聞 / 2024年11月19日 15時0分

多くの日本人に親しまれる詩を書き続けた詩人の谷川俊太郎さん(2023年4月、東京都杉並区で)

 数多くの詩集や絵本、翻訳書などを手がけた詩人の谷川俊太郎さんが92歳で亡くなった。伸びやかで、覚えやすいフレーズの詩はテレビCMなどにも使われたほか、多くの日本人に親しまれ、様々な言語に作品が翻訳された。希代の国民的詩人であり、海外にも日本語の詩の魅力を広く伝えた存在だった。

カムチャツカの若者が

きりんの夢を見ているとき

メキシコの娘は

朝もやの中でバスを待っている

(略)

この地球では

いつもどこかで朝がはじまっている

 国語の教科書に採録された「朝のリレー」は、テレビCMにも採用された。戦後の現代詩は、難解なものがもてはやされた時代があった。だが、「人に喜ばれるものを書きたい」と自身の道を追求した。

 詩人の伊藤比呂美さん(69)は「誰もが持つ感情を言葉に落とし込んで共有した人だった。晩年は言葉をそぎ落としながら自在に詩をつくり、不思議と(デビュー作の)『二十億光年の孤独』に近づいた」と語る。

 平易でリズムが良い作品は、海外出身の詩人にも多く影響を与えている。中国生まれで、日本語で詩作を続ける詩人の田原でんげんさんは、日本留学後に谷川さんの作品に出会い、「本当の自分を凝視していて、うそを言わない正直な詩」と胸を強く打たれた。「人間共通の喜びや苦しみを書いていて、易しい言葉だけど詩のスケールは無限。日本の現代文学の歴史の中で、これほど海外で訳され、愛された詩人は彼以外一人もいない」と声を詰まらせた。

 阿部文部科学相は19日の閣議後記者会見で、「詩だけではなく、翻訳や、海外の子どもたちの貧困に関して先生が作ったビデオも見させていただいた。ことばの力について教えてもらった方で、心から、心から、哀悼の意を申し上げます」と述べた。

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