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働く高齢者の年金を減額する「在職老齢年金」の見直し、撤廃ではなく基準額引き上げを軸に検討

読売新聞 / 2024年11月19日 20時40分

 厚生労働省は、働いて一定以上の給与収入を得た高齢者の厚生年金の受給額を減額する「在職老齢年金」制度を見直し、減額する対象者を縮小する方向で調整に入った。現在は給与と年金の合計額が月50万円の基準額を超えると減額されるが、62万円や71万円に基準額を引き上げる案などを検討する。高齢者の手取りを増やし、働き手を確保する狙いがある。

 25日に開催される社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の年金部会に、同省が見直し案を提示する。年末までに改革案をまとめ、来年の通常国会に提出する年金改革関連法案に盛り込みたい考えだ。

 現行制度では、合計額が月50万円を超えた場合、超過した分の半額の厚生年金は支給されない。例えば、給与が40万円で厚生年金の受給額が30万円の場合、合計額は70万円となるため、基準額を超過した20万円の半額(10万円)の年金は支給されず、手元に入るのは、60万円(給与40万円、厚生年金20万円)となる。

 仮に基準額を月62万円に引き上げれば、超過分は8万円となり、年金の減額は4万円分にとどまるため、手取りが66万円に増える計算となる。

 同省によると、働きながら厚生年金を受給する65歳以上は、2022年度末時点で308万人に上る。そのうち50万人が22年度時点の基準額を超え、減額の対象となっていた。

 同制度を巡っては、高齢者の働く意欲を損なっているとし、制度そのものの撤廃を求める声も出ている。25日の部会では撤廃案も議論される見通しだが、新たに年4500億円の財源が必要となるため、引き上げ案が軸になるとみられる。

 同省は年金財政を安定させるため、高所得者が支払う保険料の上限を引き上げる方向だ。25日の部会では、厚生年金の保険料の算定基準となる「標準報酬月額」の上限を現行の65万円から、75万円や79万円に引き上げる案を提示する。高所得者は支払う保険料が増える代わりに将来受け取れる年金額が増える。

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