「アイドル記者」がまさかの「系列またぎ」、世界最高峰の舞台で伝えたいことは…清司麗菜の#skatelife
読売新聞 / 2024年11月22日 12時0分
NGT48の清司麗菜さんはスケートボードに打ち込むアイドル。11月23日に東京・有明で開かれる世界最高峰のプロツアー「SLS」東京大会(SLS TOKYO)を取材することが決まっています。でもなぜか、思いもかけないオファーがあって……。スケボーシーンを見つめてきた彼女が日本人選手について解説します。「清司麗菜の#SkateLife~continuity180~」の第24回です。
異例の「系列またぎ」
11月はスケボーの月になりそうだ。
11月9日には大阪府松原市の「スケボーのまち まつばら Street SK8 Cup in MATSUBARA」に出て、10日には地元・新潟市のAIRMANスケートパークで「アーバンスポーツフェス」に出演。そして、いよいよ23日には「SLS TOKYO」に取材陣の一人として参加する。
SLSを取材できるっていうだけでもうれしかったのに、さらに新しい仕事が決まった。大会を中継するフジテレビさんの動画配信サービス「FOD」に出演だ。女子の予選でフィールドレポートをやらせてもらえることになり、今から期待に胸を膨らませている。
選手たちが戦うパークに立つことができるなんて、なんだか本当に夢みたいだ。
元々、この連載をしている読売新聞の一員として取材することになっていたんだけど、読売新聞とフジテレビ……。系列違うよね? なぜだかわからないけれど、「大丈夫」らしい。事務所のスタッフの方も「初めてのことだ」と笑っていた。メディアも「スケボーカルチャー」でつながっている……のかな?
豪華な顔ぶれ
スケートボードって、乗ってみて分かることが結構ある。私たちがテレビや動画で見ることができるトップスケーターの滑りは、簡単そうに見えて本当に難しい。普通に滑るだけでも初めはかなり怖いし、レールやハバレッジの上を滑るだけでもかなり練習しなくちゃいけない。ジャンプする「オーリー」、ジャンプして板を裏表に回す「フリップ」……。どれもこれも、乗り続けないと身につかないトリックだ。
私はまだフリップもできないし、レールで滑れるのはわずかな距離。だけど、スケートボードに乗って、練習して、いろんな人のライディングを見てきたからこそ伝えられることがある。だから、自分の言葉でトップスケーターたちの戦いを伝えられたらいいなって思う。
SLS TOKYOには豪華な顔ぶれがそろった。これだけのトップスケーターが1か所に集まってスケボーをする、というだけで大ニュースだ。今回は日本人選手について紹介したい。
とんでもなくレベルが高い日本女子
女子に出場するのは日本人だと、東京五輪金メダリストの西谷椛(もみじ)選手、2023年世界女王の織田
しかも、予選では、吉沢、ライッサ、中山、赤間選手が同組。それに加えて2023年のXゲームズ・カリフォルニア大会のベストトリックで優勝しているマライア・デュラン選手(アメリカ)も加わって、上位3人しか決勝に行けない。本当に厳しい戦いになった。
ここ最近、女子の選手にお会いする機会が多かった。松原市の大会では、西矢選手とあいさつさせてもらって、緊張していた私に笑顔で対応してくださった。デモンストレーションでは、「Kグラインド・ノーリーヒールフリップアウト」を成功。撮った動画を私がインスタにアップしたら、西矢選手が反応してくれてうれしかったなぁ。完全に「ファン」の心境になった。
赤間選手とは、新潟市のイベントで一緒になった。普段、試合中に感情を表に出すことがなくて、淡々とトリックを決めまくる印象があったから、実際にお会いした時にはそのギャップにびっくり。ほかのスケーターの滑りを撮影したり、トリックが決まると笑顔で喜んだりしていて、印象が真逆だったからだ。それだけに、試合にかける集中力のすごさを感じた。
中山選手も10月のSLSシドニー大会では、「ヒールフリップフロントサイドKグラインド」を決めて3位に食い込んだ。この滑りはやばかった。
もちろん、吉沢選手も織田選手も実力は折り紙付きだし、誰が優勝するかは「当日の調子次第」なんじゃないかなって思う。それだけ、日本人のレベルはとんでもなく高い。
堀米雄斗が凱旋
男子はなんといっても、堀米雄斗選手が日本に帰ってくる! これが最大の話題じゃないかな。パリ五輪で見せた「ノーリーバックサイド270テールブラントスライド」は言葉を失うほどすごかった。そんな彼が、地元の東京・江東区での世界大会で帰ってくる。それも昨年のチャンピオンだから、連覇をかけて。これ以上ないステージだ。
白井
それから、
昨年のSLS TOKYOでナイジャ・ヒューストン選手(アメリカ)を抑えて2位になった池田大暉選手。実は、2023年に私が初めてスケボーでテレビの仕事をいただいたときに同じ番組に出演していた。そこから注目していたんだけれど、その年のSLS TOKYOで準優勝して、あっという間にトップスケーターの仲間入り。まだ18歳で伸び盛りでもある。ワクワクさせてくれるスケーターだ。
世界最高峰の舞台に
スケートボードを始めたころ、私は心配されることばかりだった。ケガをすればアイドルの仕事に支障が出るんじゃないか、ファンの方々にご心配をおかけしないか、スケーターからは「話題づくりでやっている」と思われるんじゃないか――。
でもここまでスケボーに携わって、こうして、いろんな選手に思いをはせられるようになった。一人一人の姿や、カッコいい滑り、実際に会ったときの表情がふと浮かぶほどに。
確かにスケーターとして、トップレベルには私はいない。だけど、多くのスケーターの方々と顔を合わせ、一緒に過ごしてきた時間は私にとって宝物だ。SLSに出場しない一般のスケーターも含めて、関わってきてくれたすべての人が、今の私を作ってくれた。スケボーシーンに温かく迎え入れてもらった。
いろんな人に支えられて私も世界最高峰の舞台に立つ。文字で、声で、映像で、スケボーの魅力を伝えることができるようになった。その時に私はどんな言葉を紡ぐだろう。私だけの言葉で、スケボーへの愛を語れれば、これ以上ない、と思う。
プロフィル
清司麗菜(せいじ・れいな)
NGT48の1期生。埼玉県出身。「バイトAKB」として2014年にアイドルのキャリアをスタートさせ、2016年にNGT48に加入。全国スケートボード施設連絡協議会アンバサダー。趣味はスケボーのほか、歌うこと、筋トレ。Instagramは「@reinaseiji」、X(旧Twitter)は「@official_seiji」。
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