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平屋住宅の人気じわり、新築割合10年で2倍に…冷暖房効率アップ・低コストなどメリットも

読売新聞 / 2024年11月21日 8時33分

新築住宅の着工棟数と平屋の割合の推移

 平屋住宅の人気が高まっている。少人数や高齢の世帯が増えるなか、階段の上り下りがない平屋の利便性が注目され、新築に占める平屋の割合は直近の10年間で2倍に増えた。2階建てより建設費用が少なくて済むため、住宅メーカーも販売に力を入れている。(橋谷信吾)

 住友林業は9月、さいたま市大宮区の住宅展示場に平屋のようなモデルハウスをオープンした。2階建てだが、平屋の暮らしが体感できるよう1階の天井を高く取り、外観も平屋に見えるようにした。リビングから寝室や洗面室に直接出入りできる構造で、空間を広く感じられる。

 オープン前に比べて見学客が約10倍に増え、営業リーダーの男性は「20~30歳代には平屋の外観が新鮮で、おしゃれと受け入れられている」と語る。

 国土交通省の建築着工統計調査によると、2023年度に着工された居住専用住宅は37万7949棟となり、過去10年で最低水準だった。建設費の高騰などで消費者の購買意欲が低下しているなか、平屋はこのうち15・3%を占め、13年度(7・37%)から2倍以上に伸びている。

 1世帯あたりの平均人数は減少傾向にあり、部屋数をそれほど求めない人には平屋が選択肢の一つだ。2階がなく、冷暖房を効率的に利用できて光熱費を抑えやすい。パナソニックホームズが4月に販売した平屋はガラスの内部に特殊ガスを入れ、断熱性を高めた樹脂サッシの窓を採用した。

 メーカー側にも平屋はメリットがある。住友林業によると、廊下と階段をつくる手間が省けるので工期を短縮でき、同じ部屋数の2階建てに比べて建設費を約1割抑えられるという。24年1~6月の注文住宅販売戸数のうち、平屋が占める割合は45%に達し、6年前の同時期と比べて20ポイント近く上昇した。

 ただ、建物の高さが低いため日当たりが悪くなる場合もある。十分な広さがとれる土地も必要だ。積水化学工業が手がけるセキスイハイムでは、今年4~9月の戸建て販売のうち23%を平屋が占め、販売戸数は前年同期比で21%増えた。土地を確保しやすい地方で人気が高く、九州では半分近くが平屋だったという。

 建設費がさらに抑えられる建て売りを強化する動きもある。分譲住宅大手「飯田グループホールディングス」傘下の一建設(東京)は9月、神奈川県内で平屋の分譲を始めた。東武不動産(東京)は10月から、高度成長期に建てられた空き家を買い取り、平屋を建てて分譲する。千葉県や埼玉県での整備計画もある。

 不動産情報を扱うライフルホームズ総研の中山登志朗副所長は「少人数世帯に適した平屋の人気は今後も定着していく。購入する側は、メリットとデメリットを吟味して検討することが大切だ」と指摘している。

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