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トランプ新政権 イエスマンばかりでは危うい

読売新聞 / 2024年11月21日 5時0分

 赤をシンボルカラーとする米共和党が、ホワイトハウスと連邦議会の上下両院を掌握する「トリプル・レッド」の政治状況となった。

 トランプ次期大統領が思い通りの人事や政策を進めやすい政権基盤を手にした。問題はそれをどう生かすかである。

 共和党は上院(定数100)で多数派を奪還し、下院(定数435)でも過半数を維持した。議会は予算編成や立法の権限を持ち、特に上院は政府高官人事や条約の承認権を握っている。

 トランプ氏は新政権の主要ポストを腹心で固めようとしている。1期目政権では大物政治家や軍人らを要職に配置したが対立し、更迭を繰り返した。今回は適性や経験よりも、忠誠心を重視して人選を進めているのは明らかだ。

 司法長官に指名したマット・ゲーツ氏は、トランプ氏に忠実な保守強硬派として知られ、トランプ氏の起訴に関わった政敵への報復を示唆している。未成年者と性的関係を持った疑惑も抱える。

 厚生長官にはワクチン懐疑主義者のロバート・ケネディ・ジュニア氏を起用するという。

 絶大な権力を得たトランプ氏が暴走した場合、イエスマンばかりの政権で歯止めをかけられるのか。懸念を禁じ得ない。

 共和党内にもこうした人事を疑問視する意見があるため、トランプ氏は、上院の承認手続きを省く「休会任命」も辞さない構えだが、権力の乱用とみなされる強引な手法は慎むべきだ。

 日本や世界にとって特に影響が大きいのが、新政権の外交・安全保障政策である。

 外交の司令塔の国務長官に起用されるマルコ・ルビオ上院議員は議会きっての対中強硬派として知られる。少数民族への人権抑圧などを理由に対中制裁法案作りを主導し、中国政府から入国禁止の制裁を受けている。

 米中2大国の関係が過度に緊張すれば、日本の安保環境の悪化は避けられない。日本は米中双方に自制と関係改善を促すべきだ。

 とはいえ、トランプ氏が「米国第一」「ディール(取引)」重視を改めるとは考えにくい。トランプ政治を前提に、日本の国益を追求することが欠かせない。

 たとえば液化天然ガス(LNG)の米国からの輸入増など、日本のエネルギー安全保障にも資する選択肢の検討や、関係諸国との協力体制の強化などで、同盟国や国際協調の価値を新政権に実感してもらうのも一つの手ではないか。

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