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国民民主に大幅譲歩せざるを得なかった自民・公明、合意直前まで続いた文言調整…政権運営には依然不透明感

読売新聞 / 2024年11月21日 7時10分

 自民、公明両党は20日、「年収103万円の壁」の見直しなどを巡り、国民民主党との合意にこぎつけ、2024年度補正予算の年内成立に道筋をつけた。少数与党の自公は国民民主の要求に大幅な譲歩をせざるを得ず、石破首相(自民総裁)の政権運営には依然、不透明感が漂っている。

試金石

 「今後の政策決定や国会運営は野党の意見をよく聞いて進めていくことが基本となる。このような形で議論したのは初めての試みだ」

 自民の小野寺政調会長は同日、3党の政調会長会談後の記者会見でこう振り返った。自公両党は衆院で過半数に届かず、国民民主と政策ごとに協力する「部分連合」で政権運営を進めることを目指しており、その最初の試金石が総合経済対策だった。

 12日から始まった3党の政調会長の協議は計5回に及んだ。手取り増を掲げる国民民主の看板政策である「103万円の壁」見直しを巡り、文言の調整は20日の合意直前まで続いた。

 19日の協議で与党から提示した当初案は、基礎控除などの引き上げについて「国・地方の財政への影響などの諸課題に十分留意しつつ、検討を進め、結論を得る」としていた。国民民主は、引き上げ方針の明確化や「財政への影響」の文言削除を要求。与党は「引き上げについて税制改正で検討する」との案を示した後、最終的に「2025年度税制改正の中で議論し引き上げる」と踏み込んで決着した。

距離感

 経済対策には、国民民主の衆院選での公約を踏まえ、「手取りが増え、豊かさが実感できるよう」との文言も盛り込むことになった。玉木代表は20日、自身のX(旧ツイッター)に「ついに『壁』が動きました。でもまだ数センチ。勝負はこれから」と投稿した。

 一方、与党が「交換条件」としてこだわったのは、3党間の合意文書だ。経済対策の財源の裏付けとなる24年度補正予算の年内成立を目指すことや、部分連合を定着させ、25年度当初予算へ賛同を得る布石として、3党が「誠意をもって行動する」との文言を加えた。

 ただ、国民民主の浜口政調会長は20日の記者会見で、当初予算への対応について「今後、判断していきたい」と予防線を張った。党内には「与党から取り込まれてしまう」との警戒感が出ており、自公との政策協議の常設化は今後も認めない構えだ。国民民主幹部は「与党とは絶妙な距離感をとり続けることが大事だ」と語った。

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