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自分の葬儀について相談、足立区に「終活カフェ」…日常では敬遠されがちな話題を「気軽に相談」

読売新聞 / 2024年11月21日 15時22分

「こうこう庵」で談笑するカフェの利用者ら。お茶を飲みながら「終活」の相談ができる(東京都足立区で)

 人生のしまい方を考え準備する「終活」を身近に感じてもらおうと、東京都足立区に昨年末にできた「終活カフェ」が人気を集めている。区内の葬儀会社と介護事業会社が協力して運営するカフェでは、葬儀の流れや事前の準備などについて知り、自分らしい最期について考えることができる。日常では敬遠されがちな話題だが、「気軽に相談できる」と好評だという。(斉藤新)

お菓子に葬儀返礼品

 足立区役所から徒歩10分ほどの場所にある「終活カフェ こうこうあん」。緑色ののれんが目印だ。

 店内は、一見普通のカフェのようだ。アイスコーヒーなどの飲み物を注文すると、茶葉ようかんと沖縄黒糖の菓子が付いてくる。

 「お菓子は葬儀の返礼品なんですよ。実際に味わってもらおうと思って」。運営する葬儀会社「孝行舎」の田中孝平社長(46)はそう話す。

 同社が生前整理や葬儀などの終活について相談できるカフェを開いたのは昨年12月。人生の終わりに備えて、自分らしい葬儀のあり方について考えたり、核家族化で墓の承継に不安を抱えたりする人も多いが、「終活についていきなり相談するのはハードルが高いと感じる人がほとんど」(田中さん)だという。

 田中さんは、誰もが直面する問題について気軽に相談できる場を作りたいと、区の補助金を活用し、同社の事務所兼倉庫を改修しカフェにした。カフェの店員は、同社の社員らで、家族葬など葬儀の種類についてや、散骨や墓じまいの仕方など様々な相談をすることができる。近くの寺の僧侶が立ち寄り、最近の葬儀事情などについて話をしてくれることもあるという。

 利用者の一人で区内在住の女性(83)は「葬儀のノウハウを持っている会社が運営しているので、自分の葬儀についても相談し、いざという時には家族に対応してもらうことができる。知らなかった人とも交流することができ、地域のコミュニティーに欠かせない場所」と話す。

専門職の拠点にも

 カフェは、高齢者宅を訪問する医療や介護などの専門職らが仕事の途中に立ち寄れる場所にもなっている。

 カフェの運営には区内で介護事業を行う合同会社「One」が協力。ゴム手袋などの必需品も販売されているほか、コピー機などもあり、仕事をすることもできる。区内の介護事業会社に勤務する高橋光敏さん(41)は「カフェで休憩をしつつ、事前に葬儀の流れなども知ることができる。施設の利用者や家族の安心にもつなげられ助かっている」と話した。

 田中さんは「色々な場面で地域の人に頼られる場所にしていきたい」と話す。カフェの営業は原則平日の午前10時から午後5時。問い合わせは、孝行舎(0120・81・5548)へ。

「語り合う場が必要」専門家指摘

 医療介護情報サービス会社「エス・エム・エス」(東京)が昨年12月、60歳以上の親を持つ男女約1000人に実施した調査では「親と終活について話したことがない」との回答が66・4%に上った。同社は「終活については、話しにくく、切り出しにくい話題だと感じる人がまだ多いのが実態なのでは」と分析している。

 志学館大の吉川直人講師(社会福祉学)は「高齢化が進む『多死社会』で、死について向き合うひとつの形態として終活カフェのように語り合う場が求められている」と指摘し、「みとりや葬儀の新たな形態が模索されるなか、今後もこうした取り組みは増えていくのでは」と話した。

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