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男性化粧品の先駆け「他社とは男性について知っている情報量に違い、特に中高年から信頼感」…マンダム・西村健社長

読売新聞 / 2024年11月25日 13時30分

インタビューに応じるマンダムの西村社長(東京都港区で)

 男性化粧品の需要は年々拡大しており、関心を持つ若い世代が増えている。マンダムは「ギャツビー」を始め、先駆けとなるブランドを生み出してきた。8月には、55歳以上をターゲットにした新しい化粧品のブランドを発表している。成長戦略について、西村健社長に話を聞いた。(聞き手・岡田実優)

人口減、多くの会社が影響

 ――化粧品業界の業況をどうみるか。

 「国内市場は、コロナで受けたダメージから徐々に回復している。ただ、世界全体で見ると、低調なのではないか。海外からの輸入が増え、老舗と言われる国内大手の出荷数量は減っている。

 アジアはコロナ禍の回復が早かった。国によって優勝劣敗があり、中国は調子が悪い。当社は幸い中国がそこまで強くないが、インドネシアは課題があってあまり良くない。マレーシアやタイ、シンガポール、台湾はコロナ前の実績を超えて成長しており、トータルではさほど悪くない」

 ――国内市場が弱いのはなぜか。

 「たとえば、シャンプーやスキンケアは、以前と違って性能が良くなった。3プッシュ使っていたのが、1プッシュで済む。単純計算で使用量が3分の1になる。ESGの観点で、無駄遣いをやめ、きちっとした量で使っていこうという生活者の意識も強まっている。

 人口減は、おそらく多くの会社が影響を受けており、当社もこの先受けることになると思う。当社が特殊なのは、男性化粧品が中心なので使い始める人が増えており、深刻な影響はないのではないかと思う。

 ただ、化粧品は女性で成り立ってきた業界なので、結果として人口減の影響を受けてしまう。各社が単価の高いものを作るため、当社もシフトせざるを得なくなる」

 ――男性化粧品の先駆けだ。御社の強みは。

 「割と今は、こういう男性像になりたいというあこがれがあるわけではない。デジタル社会が広がってそれぞれが情報を発信し、自己主張できるようになり、自分がなりたい姿を広く持てる多様性の時代になった。カメラの性能が良くなってSNSの発信でよりきれいに見せたいという人もいる。

 当社は2027年に創業100年を迎える。大半の時代を男性化粧品中心に動いてきて、多くの男性を見てきた。研究もマーケティングも行い、日本だけでなく、アジアでも積み重ねがある。他社とは男性について知っている情報量が違う。

 マンダムが出てきた1970年代頃はCMも含めて、ブランドが日本を席巻した時代だった。今も特に中高年の方々には信頼感があり、強みになっていると思う」

若い世代、メイクを楽しむ男性も

 ――8月に50歳代以上向けの男性スキンケア商品を発売した。

 「40~60歳代以上の方々は、人口のボリュームがある。健康寿命が延び、社会とのつながりを意識する時間が長くなっている。一つの形として、新しいブランドの発売にたどりついた。日本は課題先進国だともいえる。解決すれば、アジアでも役立つチャンスはある」

 ――男性にとって、メーキャップはまだ抵抗感があるのではないか。

 「メーキャップは難しいカテゴリーだと思う。女性の日常のように当たり前にすべてのほとんどの方に広がるかといえば違うと思う。一方で、若い世代にはメイクを楽しむことが当たり前だという方もいて、若い方がメーキャップを使う割合は増えてくると思う。ターゲットを狙ったマーケティングをすれば、ある程度広がるのではないか」

 ――海外展開について。

 「早い段階で進出したアジアは強みになっており、まだまだ売り上げが伸ばせる。新たなカテゴリーを作れば、マーケットを開拓できる。

 インドは現地法人が活動を休止していて、インドネシアから輸出している。州ごとに税法が違ったり、地場のメーカーが安い価格で展開していたりして、力を入れてこなかった。

 インドを軸に、ドバイを通じて中東やアフリカ市場にも力を入れたい。顔つきや肌の色も東南アジア人とは違うため、販売していないひげ回りのトリートメントオイルなどを販売することも考えている」

 ――インドネシア事業が課題になっている。

 「営業利益で、日本とインドネシアの利益率が大きく低下している。原価率がコロナ禍前に比べて、日本は10%以上、インドネシアは20%近く大きくなった。通常の原価率は65%以下に抑えているところ、8割を超えた。

 もう一つはインドネシアの生産数量がコロナで激減した。コロナ直前にプロモーションをかけた商品は大量の在庫になってしまった。採算性の低いブランドの見直しなどを通じて、収益を改善させていきたい」

◆西村健氏(にしむら・けん) 2005年早大人間科学卒。08年マンダム入社。経営戦略担当執行役員、マーケティング統括常務執行役員などを経て、21年4月から社長。大阪府出身。

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