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ロシアがわずか1000km先にICBM発射情報、アメリカへ「核攻撃いとわない」警告か

読売新聞 / 2024年11月21日 20時1分

東大先端科学技術研究センターの小泉悠・准教授

 ウクライナ空軍は21日、ロシア軍が同日早朝、露南部アストラハン州から大陸間弾道ミサイル(ICBM)1発を発射し、ウクライナ東部の都市ドニプロを攻撃したと発表した。米CNNは西側当局者が攻撃に使用された弾道ミサイルはICBMではないと述べたと報じており、情報が錯綜(さくそう)している。

 ロシアのICBMは射程が最長1万キロ・メートル以上で、米本土も攻撃でき、核弾頭も搭載可能だ。

東大先端科学技術研究センターの小泉悠・准教授

 ロシアが大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射したのであれば、プーチン大統領の政治的なメッセージと捉えるべきだ。米国が露領内に対する長射程ミサイルの使用をウクライナに許可したことに警告する意図があったと考えられる。

 1000キロ・メートル離れた地点を攻撃するのにICBMを使う必要はない。ICBMが核弾頭を搭載できるという点がポイントだ。ロシアが核ドクトリンを改定した直後であり、ウクライナに核攻撃に踏み切ることもいとわないとのメッセージを発したのだろう。

 キーウの米国大使館は20日、露軍の「大規模な空爆」に備えて職員を避難させて閉館した。事前に把握していたのだろう。ウクライナ国内では発射の可能性が事前に報じられており、発射地点を露南部アストラハン州と伝えるなど精度も高かった。露側が米国、ウクライナに分かる形で段取りを踏んだとも考えられる。

 プーチン氏としても簡単に核の使用には踏み切れない。とはいえ、ウクライナが長射程の地対地ミサイル「ATACMS」を使い続けるとどうなるか、米国は懸念し始めたのではないか。ロシアよりも米国の出方が試されていると言える。(聞き手・国際部 松久高広)

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