1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

「平日・日中」限定の救急隊、相次ぎ創設…働くパパママ隊員の多様なニーズにもマッチ

読売新聞 / 2024年11月22日 15時30分

 救急車の出動が多い平日の日中に限定した「デイタイム」の救急隊が、全国の消防機関で相次いで創設されている。阪神間では、兵庫県の宝塚市消防本部が10月に「機動救急隊」を発足。体制を強化して現場に到着する時間を短縮しつつ、子育て世代らの働き方改革にも応える一石二鳥の狙いがある。(高部真一)

 宝塚市ではこれまで、救急隊員が24時間勤務の2交代制をとり、救急車7台で対応してきた。しかし、市民の高齢化が進み、救急車の出動回数が増えるのに伴い、通報を受けてから現場に到着するまでの時間は遅れる傾向があった。

 2014年と23年のデータを比較すると、救急出動件数は「9980件→1万3707件」と約1・4倍に増加し、現場への平均所要時間は「7分8秒→9分1秒」と約2分も延びた。今年の出動件数は、過去最多だった昨年を上回るペースになっている。

 こうした状況を改善するのが、機動救急隊の役目だ。10月1日、救急救命士の資格を持つ隊員3人で発足した隊の勤務時間は、平日午前9時~午後5時半。市消防本部によると、過去3年間の統計では、平日の午前8時~午後6時に出動が多い傾向があるといい、ちょうど人手が必要な時間帯が活躍の場となる。予備の救急車で活動する。

 一方、働き方の多様化に対応している点は、隊員にとって魅力でもある。

 約18年ぶりに救急車に乗り込むのは、新里真澄さん(45)。1997年に同市初の女性消防職員となり、救急現場で24時間勤務をこなしたが、3人の子育てのため3回の育児休暇を取得。「今までのキャリアを生かせる選択肢が増えるのがいい。現場で『ありがとう』と声をかけてもらい、やりがいを感じる」と手応えを感じている。

 残る2人はともに子育て中のパパ隊員。07年以降、24時間の勤務をしてきた鈴木章仁さん(39)は日勤の希望をかなえ、「救急の仕事を続けながら、金曜夜から日曜夜まで家族で過ごすことができるようになった」と喜ぶ。

 講習などを担当する救急課から配属された隊長の森下雄彦さん(40)は、長女の幼稚園の送り迎えをしながら勤務しており、「現場で活動したかった。新制度はニーズに合っている」と歓迎し、「市民の救命のために最善を尽くし、この制度を軌道に乗せたい」と抱負を語った。

◆日勤の救急隊=総務省消防庁によると、今年4月現在で全国の95消防本部で計125隊が活動している。救急現場は24時間勤務が原則だったが、人手不足が続く中、育児や介護中の職員、定年退職後の再任用職員を活用できる「平日昼間のみ勤務」が課題の解決策として注目され、全国に広まった。県内では、2021年に神戸市、23年に西はりま消防組合が取り入れ、今年は尼崎、姫路両市が同様の隊を創設している。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください