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つくばエクスプレス246両に防犯カメラ設置へ…1両に4台設置、乗客トラブル増で安全対策強化

読売新聞 / 2024年11月22日 7時25分

報道陣に公開された防犯カメラの設置作業(20日、つくばみらい市で)

 茨城県つくば市中心部と東京・秋葉原を結ぶつくばエクスプレス(TX)が、防犯カメラの今年度中の全車両設置を目指している。走行中のセキュリティー向上が目的で、運営する首都圏新都市鉄道(東京)は順次、作業を進めて41編成246両で運用する。3年前に東京都内の私鉄で無差別刺傷事件が相次ぎ、安全対策の強化を図る国の省令改正が行われ、鉄道各社が車両内のカメラ設置を進めている。(大井雅之)

 つくばみらい市の「つくばエクスプレス総合基地」で20日、車両内に防犯カメラを取り付ける作業が報道陣に公開された。車両係員は蛍光灯と一体になった防犯カメラを1両あたり4台設置した。その後、走行中の揺れなどでつり革がカメラに当たらないように調整した上で「防犯カメラ作動中」のシールを貼っていた。

 この防犯カメラはリアルタイムで映像を確認でき、4台で1両分の全範囲を網羅できるという。TXは全線がワンマン運転で車掌が乗っていない。防犯カメラの設置により、走行中の車両内でトラブルが起きた場合でも運行を管理する総合指令所で状況を詳細に把握することが可能となる。

 同社のまとめでは、TXの車両内で起きた痴漢や盗撮、乗客同士のトラブルなどの件数は2021年度は51件、22年度は69件、昨年度は73件と増加傾向にある。車両課の小森良平係長は「全車両に防犯カメラを設置することで犯罪や迷惑行為の抑止につながる。トラブルがあった時にはリアルタイムで車内の状況を把握し、関係部署と連携して迅速に対応できるようにしたい」と力を込めた。

首都圏で設置、急ピッチ

 21年に都内で起きた小田急線と京王線の刺傷事件では、容疑者が停車駅間が長い「特急」や「快速急行」を選んで犯行に及び、車両内の逃げ場が限られた状況で乗客が襲われた。国土交通省は昨年に省令を改正。鉄道の運行事業者に対して新幹線や利用者が多い東京、大阪、名古屋の3大都市圏の在来線を中心に新しく製造する車両での防犯カメラ設置を義務づけた。

 首都圏の鉄道各社は既存の車両も含めた全車両での設置を進めている。

 京王電鉄では事件が起きた21年10月末時点で全車両のうち、防犯カメラが設置されていたのは17%にとどまっていたが、今年3月に全車両への設置が完了した。

 小田急電鉄では21年10月末時点で全車両のうち、21%だった防犯カメラの設置率を先月末時点で65%まで増やした。一部の車両を除き、25年度中に全車両への設置を目指す。東京メトロは当初の計画より6年ほど前倒しして整備を進める。先月末時点で約9割の車両に設置を進めており、今年度中に全車両での完了を目指すという。

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