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自公国合意 野党への譲歩だけで済むのか

読売新聞 / 2024年11月22日 5時0分

 与野党で政策を協議するのは必要なことだが、与党が野党の要求をむだけでは話にならない。財源の確保策を含め、与野党で政策に責任を持つ協力体制を作るべきだ。

 自民、公明両党と国民民主党が総合経済対策の内容で合意した。国民民主の要求を反映し、所得税がかかる年収の最低ライン「103万円の壁」の引き上げが明記された。ガソリン税の減税を検討する方針も盛り込まれた。

 政府は28日に召集される臨時国会に、この経済対策を柱とした補正予算案を提出する予定だ。国民民主は補正に賛成するという。

 少数与党の石破政権は、野党の協力がなければ予算案も法案も成立させることができない。政権の命運は、国民民主を含む野党が握っていると言えるだろう。

 このため与党が野党と協議し、政策合意を図ることが必要になるが、その場合、政策がもたらす利点だけでなく、負担についても責任を分かち合うのが当然だ。

 「103万円の壁」について、国民民主の主張通り178万円に引き上げると、国と地方で7兆~8兆円の税収減が見込まれる。問題となるのは、その財源だ。

 自公両党は経済対策に「国・地方の財政への影響に留意する」という文言を記そうとしたが、国民民主が反発し、見送られた。

 国民民主は、財源は「政府が考えるべきだ」と主張している。

 衆院選敗北の責任を取らずに延命を図ろうとする石破政権の弱点を利用し、得点だけを挙げようというのでは、圧力集団と変わらない。個別政策ごとに協力する「部分連合」にも値しない。

 政策遂行に伴う責任を免れようとする姿勢は、国民民主に限らず、他の野党にも見受けられる。

 立憲民主党は、「年収の壁」のうち、社会保険料の負担が生じる「130万円の壁」の対策法案を衆院に提出した。

 年収が130万円に達し、社会保険料の支払いが生じた場合、減収分を給付で補うという内容だ。立民はその財源を7800億円と試算しているが、財源の確保策は具体性に欠ける。

 立民や日本維新の会などが臨時国会の最大のテーマにしようとしているのが、自民党の「政治とカネ」の問題だ。

 政治資金を透明化する改革は重要ではあるが、人口減少や安全保障環境の悪化といった難題への対応も急務である。与野党は建設的な政策論戦を通じ、国民の負託に応えねばならない。

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