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クシュタールの会長「セブン&アイとの統合で小売業のチャンピオンに」…敵対的買収は「考えていない」

読売新聞 / 2024年11月22日 9時5分

店内の様子について説明するアリマンタシォン・クシュタールのブシャール会長(21日、カナダ・モントリオールで)=小林泰裕撮影

 セブン&アイ・ホールディングスに買収提案しているカナダのコンビニ大手アリマンタシォン・クシュタールの首脳が21日、読売新聞などの取材に応じた。創業者のアラン・ブシャール会長(75)は「両社の統合により、国際的な小売業のチャンピオンになれる」と強調した。また、敵対的買収については「考えていない」と否定した。(ニューヨーク支局 小林泰裕)

 本社のあるカナダ・モントリオール近郊で、ブシャール氏とアレックス・ミラー最高経営責任者(CEO)(52)が日本の報道機関の取材に応じた。

 ブシャール氏はセブン&アイへの買収提案の理由について「セブン&アイの日本における生鮮食品のサプライチェーンは素晴らしい。私たちのサービスに組み込みたい」と説明した。ブシャール氏はこれまで6~7回来日した経験があり、セブンの手巻き寿司やうどんのおいしさに驚いたという。

 また、北米では都市部への人口集中が進みつつあり、セブンが持つ都市部での営業ノウハウも魅力的だったという。脱炭素化が進む中、ガソリンスタンドに依存しない経営モデルにも注目したとしている。

 「セブン&アイと経営統合すれば、多くの製品やサービスを大規模に展開できる」と指摘し、価格を引き下げるなどしてインフレ(物価上昇)に苦しむ顧客の利益にもつながると話した。

 セブン&アイは現在、創業家から経営陣による自社株買収(MBO)の提案を受け、検討を進めている。買収総額は9兆円規模になるとみられるが、ミラー氏は「MBOについてはコメントしない」と話した。

 また、クシュタールの提案した買収額は7兆円規模とみられるが、ミラー氏は「今の金額で十分競争力がある」と話し、金額を引き上げる可能性については言及を避けた。また、資金調達に向けては「金融機関との十分な信頼関係がある」と自信を見せた。

 ミラー氏は「セブン&アイ全体の買収に関心がある」と話し、一部事業の買収を否定した。統合後はデジタル分野への投資を協力して進めるほか、セブン―イレブンのブランドについても「アイコニックだ」として維持する考えを示した。

 2023年の米国内のコンビニのシェア(占有率)はセブン―イレブンが8・3%で1位、クシュタールが3・8%で2位だ。両社が経営統合で合意した場合、米国の反トラスト法(独占禁止法)に基づく審査に直面する可能性がある。

 ブシャール氏は05年、20年、そして今回と、3回にわたってセブン&アイに買収を提案したと明かした。「セブン&アイと統合すれば競争力は大きく上がる」と繰り返し、セブン&アイへの関心の高さを強調した。

 ブシャール氏は「買収後、規制当局の対応に6か月はかかるだろうが、プランはある」と自信を見せた。また、「両社の社名を組み合わせた新たな社名を考える必要がある」と話した。

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