東京・台東区の不凍液連続殺人事件、夫の母親も殺害したとして被告夫婦を再逮捕…４回目

警視庁

　東京都台東区の夫婦が、自動車用不凍液に含まれる化学物質で親族３人を殺害したとして逮捕された事件で、警視庁は２２日、夫の母親も同様に殺害したとして、元会社役員の細谷健一（４３）、妻の志保（３８）両被告（いずれも殺人罪で起訴）を殺人容疑で再逮捕した。夫婦の逮捕は４回目。

　発表によると、夫婦は２０１７年８月頃から、健一被告の母・八恵子さん（当時６８歳）に化学物質「エチレングリコール」を摂取させて消化管出血を生じさせ、１８年１月２１日に殺害した疑い。いずれも黙秘している。

　八恵子さんは体調不良で１７年９月に入院し、当時は病死と診断されていた。一連の事件を受け、カルテや血液検査の結果を調べたところ、エチレングリコールを複数回摂取したことで難病の「再生不良性貧血」が誘発されていたと判断したという。死因は吐血と嘔吐（おうと）による気道閉塞（へいそく）だった。

　夫婦は当時、インターネット通販で、エチレングリコールを複数回購入していた。警視庁は夫婦のスマートフォンの解析結果などから、入院中に差し入れた飲食物にエチレングリコールを混ぜたとみている。

　一家を巡っては、１８年１月に八恵子さんが死亡後、同４月に健一被告の姉の細谷美奈子さん（同４１歳）が、同６月には父・勇さん（同７３歳）が死亡。昨年３月には夫婦の次女美輝（よしき）ちゃん（同４歳）も死亡した。

　警視庁が関係者に事情を聞いたところ、勇さんが設立した皮革加工会社「ホソヤ産業」（台東区）の従業員だった健一被告は、会社経費を使い込み、同社役員で経理を担当していた八恵子さんらと折り合いが悪くなっていたという。

　健一被告は勇さんが死亡する前の１８年６月に同社社長に就任し、その後、１０階建ての自宅マンションや土地などを相続。志保被告も同社役員に就いた。美奈子さんも生前は会社経営に携わっており、警視庁は夫婦が会社の経営権継承や遺産相続を目的に、親族の殺害を繰り返したとみている。

　一連の事件は、美輝ちゃんの遺体からエチレングリコール由来の成分が検出されて発覚。警視庁は今年２月に美輝ちゃんへの殺人容疑で夫婦を逮捕。その後、美奈子さんと勇さんに対する同容疑でも３～１０月に再逮捕していた。夫婦は、美奈子さんと勇さんに対する殺人罪で起訴されている。

　八恵子さんの親族の女性（８６）は２２日、「いつもニコニコして気持ちのいい人だった。やるせない思いだ」と語った。女性は、勇さんが１９７９年に会社を設立した当初、幼かった美奈子さんを半年ほど預かって世話をしたこともあり、「（八恵子さんは）子どものため、仕事を軌道に乗せようと必死だった」と残念がった。