司法長官辞退、トランプ氏自ら議員に働きかけも承認メド立たず…代わりに元弁護団のボンディ氏指名

パム・ボンディ氏＝ＡＰ

　【ワシントン＝池田慶太】米国のトランプ次期大統領が司法長官に指名したマット・ゲーツ前下院議員（４２）は２１日、指名を辞退すると発表した。未成年の女性に金銭を支払い性的関係を持った疑惑などが発覚し、適格性が問題視されていた。トランプ氏は代わりにパム・ボンディ前フロリダ州司法長官（５９）を指名した。

　新政権発足を前に閣僚候補が不祥事で交代するのは異例だ。ゲーツ氏は声明で、閣僚の人事承認権を握る上院共和党のメンバーらと２０日に対応を協議したことに触れ、「私の承認が政権移行の重要な仕事の邪魔になっているのは明らかだ」と指名辞退の理由を説明した。

　ゲーツ氏は、下院議員時代に未成年者への買春行為や違法薬物使用などの疑惑が複数あり、下院倫理委員会の調査対象となっていた。１３日に司法長官の指名を受けて議員辞職した後も疑惑を巡る報道が相次ぎ、ＣＢＳニュースは、共和党上院議員の少なくとも８人がゲーツ氏の人事に反対の意向だったと報じた。

　トランプ氏は自ら議員への働きかけを続けたものの、上院承認のメドが立たず、交代はやむを得ないと判断したとみられる。

　新たに指名されたボンディ氏は２０１１～１９年に州司法長官を務め、第１次政権では弾劾（だんがい）訴追されたトランプ氏の弁護団の一人だった。現在は保守系政策研究機関「米国第一政策研究所」で主要ポストを担い、今年の大統領選で選挙活動に加わるなどトランプ氏に忠実な人物とされる。