1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

ウクライナ情勢 ロシアは核使用の脅しやめよ

読売新聞 / 2024年11月23日 5時0分

 国際法を破ってウクライナを侵略し、反撃されたら核兵器を使用すると恫喝どうかつする。ロシアの無法ぶりは目に余る。

 ロシアがウクライナ東部ドニプロに対し、大規模なミサイル攻撃を行った。

 プーチン大統領は、使用したのは新たな極超音速の中距離弾道ミサイルだと明らかにし、「実験は成功」と述べた。ウクライナ軍が、米英から供与された長射程兵器で露領内を攻撃したことへの対抗措置だとも主張した。

 これに先立ち、プーチン氏は、核使用の要件を緩和する大統領令に署名した。

 核を持たない国が核保有国の支援を得てロシアに攻撃を仕掛けた場合、共同攻撃とみなすと明記した。米英仏の支援を受けるウクライナが核攻撃の標的になり得ると解釈できる。

 従来は「国家が存亡の危機にある場合」としていた核使用の要件についても、「主権や領土保全に重大な脅威をもたらす場合」に改め、使用のハードルを下げた。

 米欧に対し、ウクライナへの高性能兵器の追加供与をしないよう警告する意図は明らかだ。

 現行の核拡散防止条約(NPT)体制は、ロシア、米中英仏の5か国だけに核兵器の保有を認めている。その特権的な地位を、戦争抑止ではなく侵略や威嚇の手段として悪用するのは言語道断だ。

 核使用は人類全体に対する重大な脅威である。中国などロシアとの関係を重視する国も、核の脅しには非難の声を上げるべきだ。

 米国のバイデン政権はウクライナ軍に対し、米国が供与した長射程兵器をロシア領への攻撃に使わないよう求めていたが、最近になって方針を転換し、承認した。

 ロシア軍を支援するため兵力を派遣した北朝鮮をけん制する狙いがある。さらに、来年1月までの自身の任期中に、ウクライナに必要とする兵器を与え、できるだけ有利な状況を作り出そうとしているのだろう。

 バイデン氏の後任となるトランプ氏は、ウクライナを侵略したプーチン氏を非難せず、ウクライナ支援にも消極的だ。就任後は、ロシアの意に沿う形で停戦を急ぐのではないかとみられている。

 そうなれば、ウクライナはロシアに占領された領土を事実上、失うことになる。そのような無法がまかり通れば、世界の秩序は崩壊してしまう。

 将来の停戦協議をにらみつつ、ウクライナへの支援を続けることが重要になろう。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください