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大谷MVP たゆまぬ努力さらなる高みへ

読売新聞 / 2024年11月24日 5時0分

 けがで投げられないシーズンにあって、打撃力と走力で圧倒的な輝きを放った。新天地でも明るく熱いプレーを貫き通した。世界最高の野球選手の進化は止まらない。

 米大リーグ・ドジャースの大谷翔平選手が2年連続3度目となるリーグ最優秀選手(MVP)に選ばれた。過去2回と同様、投票権を持つ記者30人全員が1位票を投じる「満票」だった。

 大谷選手はア・リーグで2021年と23年にMVPに輝き、今回はナ・リーグで選ばれた。両リーグでの受賞は歴代2人目だ。

 大谷選手は「ドジャースの一員として(チームを)代表してもらったと思っている」と話した。

 昨年、右ひじの手術を受け、今季は打者に専念した。大リーグでは走攻守でのチームへの貢献が評価の基準とされ、守備機会のない指名打者がMVPに選ばれるケースは、これまでなかった。

 大谷選手がその壁を打ち破ったことは、今季の活躍がいかに傑出していたかを物語っている。

 本塁打王と打点王の2冠を獲得し、打率も最後まで争って三冠王に迫った。前人未到の「50本塁打、50盗塁」も成し遂げた。投手としてマウンドに立てない分を補って余りある実績を残した。

 道のりは平坦へいたんだったわけではない。長くプレーしたエンゼルスから大型契約でドジャースに移籍した。だが開幕直後、盟友だった通訳の違法賭博が発覚し、精神的に苦しい状況に追い込まれた。

 第1号ホームランが開幕から最も遅い41打席目だったのは、その影響もあったに違いない。

 今季は盗塁の技術向上に励んだ。春季キャンプからスタート時の姿勢の改善に取り組み、相手投手の動きを研究した。試合では、機会を逃さずに積極的に走り、チームの得点力を向上させた。

 名門対決となったヤンキースとのワールドシリーズも制し、悲願の頂点に立った。

 驚異的な成績ばかりに目が向けられるが、大谷選手のプレーを支えているのは、たゆまぬ努力と強い精神力、そしてチームの勝利を優先する献身的な姿勢だろう。

 今年は結婚を発表し、愛犬のデコピンも話題になった。妻と愛犬の存在が、苦しい時期の支えになったことは間違いないはずだ。

 来季は投打の「二刀流」復活が見込まれる。ナ・リーグの強打者相手にどんな投球を見せるのか。本塁打王の翌年にサイ・ヤング賞(最優秀投手賞)を受賞する。つい、そんな夢を見てしまう。

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