「加害者が守られ被害者が悪者になっている」…後を断たない性犯罪・セクハラの二次被害訴える声
読売新聞 / 2024年11月24日 20時49分
性犯罪やセクハラの被害者が、所属する企業や団体に十分な対応を取ってもらえなかったり、周囲から嫌がらせを受けたりする「二次被害」に声を上げ始めている。10月には元大阪地検検事正から性的暴行を受けた女性検事が記者会見し、二次被害を訴えた。専門家は「社会全体が被害者への理解を深める必要がある」と指摘する。(林信登、浅野榛菜)
被害者に「人格障害」
「加害者が守られ、被害者の自分が悪者になっている」。神奈川県の接着剤メーカーで、上司からセクハラを受けた30歳代女性は憤る。
女性は2014年に入社。21年秋頃から、上司の男性部長に頭をなでられたり、抱きつかれたりするようになった。22年5月に適応障害と診断されて休職し、23年10月、労災認定を受けた。
女性や加入する労働組合によると、休職前、会社に被害を打ち明けると、幹部から「加害者と被害者をはっきりさせるつもりはない」と告げられた。希望しない他部署への異動を命じられたほか、男性部長から、「(女性は)人格障害」と周囲に触れ回るなどの二次被害を受けたという。
メーカーは一連の被害申告について、「一部は事実と確認しているが、大部分の訴えは会社として調査をしたものの、事実があったか否かを断定することはできなかった」としている。
「会社動かず」4割
近年、性被害の相談者が増えたことに伴い、二次被害を公表する人も出てきた。
元大阪地検トップの北川健太郎被告(65)による準強制性交事件では、被害を受けた部下の女性検事が10月に記者会見し、被告から「公になると地検が立ちゆかなくなる」「自死する」などと口止めされたことを明かした。検察庁に被害を申告すると、同僚の副検事から「お金目当ての虚偽告訴だ」と言いふらされたといい、「居場所がなくなった」と訴えた。
また、元自衛官の五ノ井里奈さんは22年6月以降、男性隊員からの性被害を実名で明かし、インターネット上で
厚生労働省が今年1月、セクハラ被害者を対象に実施した調査では、勤務先の対応について、4割が「特に何もしてくれなかった」と回答した。
不適切公表ゼロ
男女雇用機会均等法では、企業・団体などに対し、被害者への適切な配慮に加え、二次被害を防ぐための「プライバシー保護の措置と周知」を義務づけている。対応が不適切だった場合、労働局は事業者名を公表できるが、公表例は過去に一度もない。
コンプライアンスに詳しい同志社大の太田肇教授(組織論)は「組織は秩序を守ろうとする意識が強く、問題を
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