食用アイガモ「近大鴨」の一般販売始まる…産学連携で育成、餌に薬草や梅エキスなどで獣臭さ少なく肉軟らかく
読売新聞 / 2024年11月25日 7時34分
近畿大付属湯浅農場(和歌山県湯浅町)が産学連携で育てている食用のアイガモ「近大
国内では、アヒルとマガモを交配したアイガモが食用として広く流通しているが、肉が硬くなりやすいうえ、独特のにおいが課題だったという。
湯浅農場の伊藤仁久准教授(薬用資源学)が中心となり、農業の新規事業に取り組む建設コンサルタント「日本振興」(大阪市)と2018年に肉質改善の研究を始めたのがきっかけだ。
数十種類の薬草などを餌に混ぜ、カモの育ち具合を調査。サンショウやシソなど薬草5種類と、疲労回復の効果があるとされる梅エキスなど3種類を餌に配合すると、臭みの成分の一つとされる「ノナナール」が半分以下になることを確かめた。そればかりか、かんきつ類に含まれる成分「リモネン」も検出された。相乗効果で、獣臭さが少なくなったとみられる。
今年2月から東京都内のレストラン2店舗での提供が始まった。「においがマイルドで食べやすい」「肉のうまみがしっかりと感じられる」と好評だという。
その後、和歌山県有田川町のふるさと納税の返礼品となったほか、通販サイト「近畿日本ツーリストe―MARKET」で9月、一般販売を始めた。
有田川町生石の「たまご牧場まきば」では9月、約80羽の近大鴨の試験飼育を開始。湯浅農場の職員が定期的に訪れて状況を確かめ、出荷を終えた。
約10年前からアイガモを育てており、双方のノウハウを生かしたという。山田順二代表(59)は「カモは都市部を中心にニーズがあり、単価も高い」と話す。
湯浅農場は今後、たまご牧場まきばのような近大鴨を育てる牧場を全国に広げる計画だ。
開発に携わった湯浅農場の岩森明彦さんは「さらに効率的な飼育方法や餌の改善などに取り組む。全国に普及させたい」と話す。
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