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住人の姿消えた輪島市西保地区、豪雨で孤立状態続く…未だ残る爪痕見て「これはどうしようもねえわ」

読売新聞 / 2024年11月26日 18時39分

 能登半島地震で一時孤立した石川県輪島市西保地区は、9月の豪雨で幹線道路の県道38号(輪島浦上線)が通行止めとなり、再び孤立状態が続いている。県は年内にも一部ルートを応急復旧し、豪雨前の状態まで戻す方針だが、冬の積雪でまた閉ざされる可能性もある。20日、赤崎集落の中谷内稔区長(72)に同行し、住人の姿が消えた地区を歩いた。(高倉正樹)

 どこまで行っても、鳥の鳴き声と波の音しかしない。民家に流れ込んだ泥は固く渇き、慌てて避難したせいだろう、洗濯物が物干し竿ざおにかかったままだった。

 上大沢集落の西二又川は、濁流で両岸が大きくえぐれ、家が何軒か流された跡があった。「これはどうしようもねえわ」と中谷内さんが絶句する。車で入れないため、2か月たっても、重機の音も人の気配すらもない。不気味な静寂だった。

 西保地区には小池、下山、赤崎、大沢、上大沢、西二又、上山の7集落がある。輪島市中心部から赤崎までは、中谷内さんの軽トラックで40分。ガードレールのないカーブだらけの険しい山道が唯一のルートだ。

 辛うじて車で行けたのは赤崎の隣の大沢まで。「徒歩で行けるところまで行ってみましょう」と言われて車を降り、健脚の中谷内さんの後を追う。上大沢から西二又、さらに上山へ。倒木や土砂崩落が激しすぎて、どこに県道があったのか判然としない。西二又集落の中心部につながる橋も流木に埋もれて渡れなかった。

男女 なめ 滝の手前あたりで、ようやく重機の音がした。南の浦上地区側から道路復旧を進めている工事車両だった。往復2時間あまり、7キロほど歩いただけだが、孤立した集落に残る被害の爪痕は想像以上だった。

 輪島市によると、11月1日時点の西保地区の人口は213世帯407人。豪雨被害で一部をのぞき電気や水道は通っておらず、ほぼ全員が地区外に避難している。自宅に戻れない世帯は市内でほかにもあるが、これだけまとまっているのは西保地区だけだという。

 赤崎集落は中谷内さん夫婦ら7世帯14人が暮らしていた。元日の地震でも孤立し、廃校になった小学校で2週間過ごした。夏に電気や水が復旧したところだった。「豪雨で最後の望みが砕かれた。もうみんな戻らないのではないか」と中谷内さんは言う。

 自身も、家の庭や先祖の墓、丹精こめて耕していた畑が土砂に埋もれた。5年前にリフォームしたばかりの自宅は解体せざるをえないと考えているが、未練もある。「生家に戻ると落ち着くんです。おやじとお袋の匂いがしますからね」

 県道路整備課によると、奥能登では17路線35か所が現在も通行止めだ。西保地区を貫く輪島浦上線のうち、西側ルート(門前町浦上―下山町)については年内に復旧させ、緊急車両と住民に限って通れるようにする。これで西保に入るルートは2本になるが、どちらも狭く、降雪時は難路になる。担当者は「県道の応急復旧後も地元住民の利便を考え、できるかぎり除雪もしながら工事を進めていく」としている。一方、東側ルート(輪島市中心部―下山町)は地震で大規模に崩落し、通行再開まで数年かかる見通しだ。

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