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感震ブレーカー 電気火災の防止に活用したい

読売新聞 / 2024年11月25日 5時0分

 地震の発生時には、電気配線の損傷による火災が起きやすくなる。家庭でもできる対策として、揺れを感知すると送電を止める感震ブレーカーの普及を図りたい。

 1月の能登半島地震で起きた石川県輪島市の、朝市通りの大規模火災は、建物の配線のショートや接触不良が原因で出火した可能性があると指摘されている。

 阪神大震災や東日本大震災でも、原因が特定された火災の半数以上が電気火災だった。対策の強化はかねて課題となってきた。

 予防には、感震ブレーカーが有効だとされる。首都直下地震や南海トラフ巨大地震の被害が想定される地域などでは、設置に補助金を出している自治体もある。

 ただ、導入は進んでいない。内閣府の2022年の世論調査で、「感震ブレーカーを設置している」と回答した人は約5%にとどまっている。認知度が低いことや、地震時に電気が遮断されることが不安だという人もいるためだ。

 近年は、能登半島のように地震が比較的少なかった地域でも大規模な地震が起きている。万が一に備える重要性は増している。

 まずは、電気火災の危険性や感震ブレーカーの認知度を高める必要がある。その上で、住宅の新築や改築、老朽化した分電盤の交換の際に住宅メーカーなどが顧客に設置を促すことも有効だろう。

 感震ブレーカーは、工事をして分電盤に取り付けるタイプや、コンセントに差し込んで利用する製品などがある。設置費も、数千円から10万円近くまで幅がある。

 戸建てやマンションなどの種別や住宅密集度、想定される地震の規模を考慮し、専門家から、どのようなタイプの活用が適切か助言を受けられる体制も整えたい。

 自宅で医療機器を使う人にとっては、電気が止まると命に関わる重大事態だ。これらの人たちには、予備電源を備えてもらうなどの対応も必要となる。

 能登半島地震を受け、鳥取県は7月に防災対策を見直した。

 その際に感震ブレーカーの普及に向け、住宅や建築、電気などの関係者が参加する協議会を発足させた。県の条例を改正し、感震ブレーカー導入を「県民の責務」だとして、補助制度も整えた。

 総務省消防庁の有識者会議は、感震ブレーカーを普及させるためのモデル計画づくりを目指している。ブレーカー設置の義務化が必要だとの声もある。国は、地域の実情を踏まえ、各自治体の取り組みを後押しすることが重要だ。

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