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ガザの人道危機 米政権交代で悪化を防げるか

読売新聞 / 2024年11月25日 5時0分

 退陣間近のバイデン米政権に求心力はなく、トランプ次期政権は親イスラエルの立場だ。

 米国の権力交代につけ込むかのように非人道的な振る舞いを続けるイスラエルを強く非難する。

 イスラエル軍はパレスチナ自治区ガザで連日、空爆などを行い、子供や女性ら民間人を含む4万4000人以上が死亡している。

 ガザの住民約200万人が食料や水などを入手できず、生命の危険にさらされている。特に北部では食料不足が深刻で、人口の3割以上が急性栄養不良に陥る「飢饉ききん」の発生が懸念される。

 国際刑事裁判所(ICC)は、イスラエルのネタニヤフ首相とガラント前国防相が人道支援物資の提供を意図的に妨害したなどとして、戦争犯罪と人道に対する罪の疑いで逮捕状を発行した。首相らは重く受け止めねばならない。

 にもかかわらず、バイデン政権はイスラエルがガザの人道状況を改善する措置を取ったとして、軍事支援の継続を決めた。

 イスラエルはガザとの境界に新たな検問所を開き、限られた支援物資の搬入を認めたにすぎず、窮状は変わっていない。バイデン政権の判断は理解に苦しむ。

 また米国は、イスラエルとイスラム主義組織ハマスにガザでの即時停戦を求める国連安全保障理事会決議案に反対し、否決に追い込んだ。決議案は日本などが提出し、米国以外の14理事国が賛成していた。米国の対応は遺憾だ。

 バイデン政権は昨年10月のガザ紛争開始以来、イスラエルを一貫して支持してきた。トランプ次期大統領はイスラエル寄りの立場をいっそう強める可能性が強く、中東の紛争の拡大が懸念される。

 トランプ氏が駐イスラエル大使に指名したマイク・ハッカビー元アーカンソー州知事は、かつて「パレスチナ人など存在しない」と発言して物議を醸した。中東特使には長年のゴルフ仲間の不動産開発業者を起用するという。

 こうした布陣で、イスラエルの暴走に歯止めをかけられるのか、疑問である。

 トランプ氏は第1次政権で、エルサレムをイスラエルの首都と認めて大使館を移転し、イラン核合意から一方的に離脱した。いずれもイスラエルの意向に沿った決定で、国際社会に波紋を広げた。

 米大統領選でトランプ氏は「自分なら中東の平和を実現できる」と公約した。ネタニヤフ氏と親密な関係にあればこそ、自ら説得にあたることを期待したい。

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