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ストレートを狙われた戸郷、厄介だった左打者内角へのツーシーム…鹿取義隆さんが決勝戦を解説

読売新聞 / 2024年11月24日 23時44分

5回1死1、2塁、陳傑憲(奥右)に3ランを浴びた戸郷(中央)(24日)=西孝高撮影

 野球の国際大会「ラグザス プレミア12」で日本代表「侍ジャパン」は24日の決勝で、台湾に0-4で敗れて大会2連覇を逃した。2015年の第1回プレミア12と、06年の第1回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で日本代表の投手コーチを務めた鹿取義隆さん(元巨人、西武)が解説する。(デジタル編集部)

打ち勝つ試合を想像したが…

 前日までの戦いぶりから、決勝も日本が打ち勝つ試合を想像していたのだが、まさかの展開となった。短期決戦ではこんなこともあるのだと改めて感じた。

 先発の戸郷が五回に喫した2本の本塁打はいずれもストレートを打たれた。フォークを投げる選択もあったけれど、あの時点で一番良いと思った球を投げたと思う。台湾にはチェンジアップ気味の緩いフォークを投げる投手はいても、戸郷のように鋭いフォークを際どいカウントで投げられる投手はそうはいない。それだけ日本の野球技術が高いということなのだが、2人の打者はまっすぐ一本で待ち、特に3ランの3番・陳傑憲は、決して易しくない低めのコースをうまく振り抜いた。大会打率が6割を超え、台湾打線で最も調子のいい打者にうまく打たれてしまった。

 それにしても、2本目の3ランが日本には重く効いた。最初の本塁打の1点だけだったら、こういう展開にはならなかっただろう。

厄介だった内角へのツーシーム

 日本打線はわずか4安打。先発左腕の林昱珉は右打者にはチェンジアップを有効に使い、スタメンに6人並んだ左打者に対しては内角へ食い込むツーシームと外角に逃げる変化球で組み立てた。この内角への速いツーシームが厄介なボールで、日本では、こういう球を投げる左投手はあまりいないし、やや荒れ球だったために打者が踏み込んでいけず、内角を見せられてからの外の球への対応が十分ではなかった。

 2番手の張奕は変化球がよく、3番手の陳冠宇には気迫で押された。4人の投手はそれぞれが持ち味を発揮し、日本は持っていたデータと、打者が打席に立った時の実際の感覚との差を最後まで埋めきれなかった」

日本のお株奪う「細かい野球」も

 日本と台湾の野球交流は深く、3ランの陳傑憲は高校時代を岡山県の高校で過ごしたし、2、3番手の投手は日本のプロ野球に在籍していた選手だ。日本から多くのことを学んだ台湾の成果が凝縮された試合だったともいえる。

 七回の台湾の攻撃では走者一、二塁から日本バッテリーの油断をついてダブルスチールを決めるシーンがあった。日本の失点にはつながらなかったが、今までやってきた細かい野球をきょうは台湾にしてやられた。次回2026年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)や28年のロサンゼルス五輪を視野に入れた編成で臨んだ今大会の日本。未来に向けて侍ジャパンの精度をさらに高めていってもらいたい。

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