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厚労省が基礎年金の給付水準3割引き上げ案…厚生年金の積立金を活用、将来は年2兆円規模の財源必要

読売新聞 / 2024年11月25日 23時4分

社会保障審議会の年金部会に臨む菊池馨実部会長(中央)(25日、東京都千代田区で)=早坂洋祐撮影

 厚生労働省は25日、厚生年金の積立金を基礎年金(国民年金)の底上げに活用し、基礎年金の給付水準を3割程度引き上げる案を示した。「1階部分」の基礎年金の給付額を増やすことで、「2階部分」の厚生年金を受け取る人の大半も、年金の総額は増えることになる。ただ、将来的に年2兆円規模の財源が必要となる。

 社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の年金部会で提示した。委員から慎重な意見も出たため、引き続き議論する。

 部会では、働く高齢者を増やすため、一定の給与収入を得た高齢者の厚生年金を減額する「在職老齢年金」の対象者を縮小する案や、高所得者の保険料を引き上げるため、厚生年金の保険料の算定基準となる「標準報酬月額」の上限を引き上げる案も示された。両案の方向性は了承され、具体的な引き上げ幅は今後、決定することになった。

 同省は、与党などとの協議を経て、いずれも年末までに改革案としてまとめ、来年の通常国会に提出する年金改革関連法案に盛り込みたい考えだ。

 基礎年金の底上げは、基礎年金だけを受給する自営業者らの年金額が将来的に減ることを防ぐため、会社員や公務員が加入する厚生年金の財源を振り向ける案だ。物価や賃金の伸びより年金額の伸びを抑える「マクロ経済スライド」と呼ぶ仕組みは、積立金が潤沢な厚生年金では2026年度に終了するが、基礎年金では57年度まで続く予定だ。この終了時期を36年度でそろえ、厚生年金の受給を抑制する期間を延ばす。

 厚生年金の受給者は一定期間の受取額は減るが、厚労省は部会で、1993~2004年頃に就職した「就職氷河期世代」以降の人が年金を受け取る時には、基礎年金を含めると、増額になると説明した。平均的な賃金で40年間働いた会社員の夫と専業主婦の夫婦2人の世帯の場合、現在30歳の人が年金を受け取れるようになる59年度の年金額は月23・7万円(基礎年金14・0万円、厚生年金9・7万円)で、改革しなかった場合の21・3万円(基礎10・8万円、厚生10・5万円)より多くなる。

 基礎年金の財源の半分は国庫負担で賄われるため、追加で40年度に5000億円、50年度に1・7兆円、60年度に2兆円の財源が必要となる見込みだ。

 「在職老齢年金」制度では現在、給与と厚生年金の合計額が月50万円の基準額を超えると、超過した分の半分の厚生年金が支給されない。この基準額を62万円か71万円に引き上げる案と撤廃する案が示された。高齢者の手取りを増やし、働き手の確保につなげる狙いがある。現行では約50万人が基準額を超え、計約4500億円分の年金支給が停止されている。62万円に引き上げれば約20万人、71万円に引き上げれば約27万人の受け取る年金が増える。

 「標準報酬月額」では、上限を現在の65万円から、〈1〉75万円〈2〉79万円〈3〉83万円〈4〉98万円――に引き上げる4案が示された。75万円に引き上げれば、168万人の保険料が月9000円ずつ増え、加入期間が10年なら将来の給付額は年6・1万円、20年なら年12・2万円増える。

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