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洋上風力汚職、贈賄側が否認に転じる…「検察は馬主組合が100%秋本被告のものと決めつけて起訴した」

読売新聞 / 2024年11月25日 23時52分

 政府の洋上風力発電事業を巡る汚職事件で、「日本風力開発」(東京)側の依頼で国会質問をした見返りに計約7280万円の賄賂を受け取ったなどとして、受託収賄罪などに問われた前衆院議員・秋本真利まさとし被告(49)らの初公判が25日、東京地裁(矢野直邦裁判長)であった。秋本被告は「現金は受け取ったが、利益供与ではない」と同罪について無罪を訴えた。

 公訴時効(3年)にかからない約4180万円分の贈賄罪に問われた同社元社長・塚脇正幸被告(65)も「贈賄したという起訴事実は全くの誤りだ」と無罪を主張した。

 起訴状によると、秋本被告は2019年2月~22年2月、同社が事業参入で有利となるよう塚脇被告から国会での質問を依頼され、その見返りとして、19年3月に現金3000万円を無利息・無担保で借り入れたほか、20年4月~23年6月には、両被告らが設立した馬主組合を介するなどして計約4280万円の提供を受けたなどとされる。

 検察側は冒頭陳述で、秋本被告は風力発電事業者との会合を通じて塚脇被告と顔見知りになり、遅くとも18年頃から塚脇被告から個人的な接待を受けていたと指摘。馬主だった塚脇被告に、秋本被告が「自分も馬主になりたいが資金が足りない」と相談したとした。

 そして、塚脇被告が「秋本被告に馬主生活を楽しむ環境を与えれば、自社に有利な取り計らいを受けられる」と期待するようになったと言及。日本中央競馬会の馬主登録のため、不足していた資金3000万円を秋本被告に貸し付け、馬主組合の名義で購入した馬の代金などを塚脇被告が支払っていた、と説明した。

 検察側は一連の貸し付けや資金提供は、同社の事業参入に有利となるような国会質問などへの謝礼と主張。事業者選定の評価基準見直しを求める質問をしてほしいとの塚脇被告の依頼を受け、秋本被告が22年2月の衆院予算委員会で「評価の仕方を見直していただきたい」と発言した、と述べた。

 検察側は、両被告の癒着を示すエピソードとして、同社側が秋本被告の交際相手だった秘書の海外留学にあたって資金援助したり、同社が社員を秋本被告事務所に秘書として派遣したりしていたと指摘。また、塚脇被告が関連会社に対する業務委託費の水増し計上で簿外資金を捻出し、賄賂に充てていたとも述べた。

 一方、秋本被告は罪状認否で用意した紙を読み上げ、「思い入れのある馬の血を残したいとの塚脇さんの夢の実現に協力しただけ。資金は国会質問などと関係がなく、賄賂ではない」とし、馬主組合名義で購入・管理していた馬は「100%塚脇さんのものだ」と話した。

 新型コロナウイルス対策の持続化給付金200万円をだまし取ったとする詐欺罪は争わない姿勢を示した。

 贈賄側の塚脇被告は、秋本被告への資金について捜査段階で「国会質問への謝礼の趣旨があった」と容疑を認める供述をしたが、初公判で一転して否認。罪状認否で「検察は馬主組合が『100%秋本被告のもの』と決めつけて捜査し、誤った起訴をした」と述べた。

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