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鉄道やバスなど利用しにくい「交通空白」、官民で解消へ…国交相「解消できなければ地域は存続できない」

読売新聞 / 2024年11月26日 8時0分

 国土交通省は25日、鉄道やバス、タクシーなど公共交通機関を利用しにくい「交通空白」の解消に取り組む組織「交通空白解消・官民連携プラットフォーム」を設置し、初会合を開いた。人口減少で公共交通の維持が難しい地域が増えていることを受け、事業者と自治体の連携を強化し、住民や観光に欠かせない移動の足の確保につなげる。(鈴木瑠偉)

「地域存続できない」

 中野国交相は会合で「類をみない人口減少の時代。交通空白を解消できなければ、地域は存続できない」と強調した。新組織には自治体や交通事業者に加え、ITや金融、小売りなど計167社・団体が参加した。

 25日にはイオンや三菱商事、三菱UFJ信託銀行などの担当者が出席し、AI(人工知能)で最適なルートを割り出す「オンデマンドバス」や、新しい交通手段の導入に向けた資金調達方法などを紹介した。

 今後、さらに参加企業・団体を募り、2025年2月にも、交通空白に悩む自治体と事業者の技術を結びつける場を設け、新たな取り組みを始めてもらう方針だ。

公的支援

 地方で交通手段の確保に困る人は増えている。農林水産省は、食品を販売する最寄り店舗までの直線距離が500メートル以上あり、運転もできない高齢者は20年時点で904万人と推計する。商業施設の統廃合などで店舗数が減ったこともあり、15年から9・7%増えた。

 08~22年度に廃止されたバス路線は計2万733キロ・メートルに及ぶ。有識者らが参加した国交省の会議は5月、交通空白地などでは事業者だけでは移動手段を十分に提供できないため、財政面を含めて公的支援を強化する必要があるとしていた。

ライドシェア

 国交省は官民連携を強化するため、自治体と交通事業者が連携し、地方の交通網を維持するうえで先進的な取り組みをしたケースには財政的な支援を行う。全国への展開が期待できる事例が中心となる見込みだ。

 具体的には、企業の工場送迎や、小売り事業者の商品配達に使われているクルマに、地域住民も乗れるようにすることなどを想定する。個人が自家用車に客を乗せる「日本版ライドシェア」や乗り合いタクシーの普及も図る。

 ただ、現在のライドシェアは地域・時間帯が限定され、運転手がタクシー会社と雇用契約を結ぶ必要があるなど一定の規制があり、全面解禁には慎重論も根強い。ドライバー不足や自治体の財政負担も課題で、交通空白の解消に向けたハードルは多い。

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