年金制度改革 負担増に理解得る努力が必要
読売新聞 / 2024年11月27日 5時0分
老後の生活を支える公的年金を持続可能な制度とするには、負担増も含め、不断に見直していくことが欠かせない。
政府は、目指す改革の狙いや意義を丁寧に説明し、国民の理解を得る必要がある。
厚生労働省が公的年金制度の改革案を発表した。今夏にまとめた5年に1度の財政検証を踏まえた内容となっている。
財政検証で最大の懸案とされたのは、基礎年金の財政悪化だ。
基礎年金の保険料収入と支給の収支を安定させるには、2057年度まで、物価や賃金の上昇よりも年金の支給額の伸びを抑制する「マクロ経済スライド」を適用し続けねばならない。
基礎年金は、20歳以上が全員加入する公的年金の「1階部分」にあたる。パートや自営業者が加入する基礎年金は、国民年金と呼ばれ、その実質的な支給額の目減りは老後の生活を直撃しよう。
そうした事態を避けるため、改革案では、比較的財政に余裕のある、会社員や公務員が加入している厚生年金の積立金の一部を、基礎年金に充当するとした。
その場合、基礎年金の財政は36年度には安定し、支給額も3割程度底上げされる見込みだ。
一方、会社員ら基礎年金と厚生年金の両方を受け取る人は、厚生年金の積立金の減少の影響で今後10年程度、支給が減るという。
基礎年金の財政が安定すれば、支給額も増えることになる。だが、会社員の中には自分が納めた厚生年金保険料がなぜ、国民年金の「救済」に使われるのか、不満を抱く人もいるのではないか。
政府は、給付と負担がどう変化していくのか、具体的な金額を提示することが重要だ。
国民年金を巡っては、岸田前内閣が保険料の納付期間を5年延長する案を検討したが、自営業者らの反発を警戒して見送った。将来、厚生年金を受け取る人に負担を求めるなら、自営業者らの納付期間の延長を再検討してはどうか。
現在、高齢者が受け取っている賃金と厚生年金の合計が月50万円を超えると、年金は減額されている。改革案は、この「在職老齢年金制度」の見直しも提案した。
年金の減額を嫌い、働く時間を抑えている高齢者は多い。制度の見直しは、年金が減額される合計の上限額を引き上げ、より長く働いてもらう狙いがある。
ただ、制度を見直した場合、年金の支給額は増えることになる。その財源をどう賄うのか。厚労省は具体策を示すべきだ。
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