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八戸―十和田、史跡や渓流巡る120キロ…ロングトレイル来春に試験開通「歩くとファン増える」

読売新聞 / 2024年11月30日 13時21分

 環境省や青森県などは、八戸市、南部町、五戸町、十和田市を徒歩ルートで結ぶ全長約120キロ・メートルのロングトレイルの整備を進めている。太平洋側の東北4県の沿岸部を歩く「みちのく潮風トレイル」でもスタート地点となっている八戸市から、里山を通り十和田神社を目指す新たなルートは、ハイカーたちに向けた地元の魅力発信の機会になりそうだ。試験開通は来年4月を予定している。

歴史と自然を堪能

 整備は、十和田八幡平国立公園(十和田市など)と、三陸復興国立公園(八戸市など)が結ばれることで宿泊利用増につなげようと、同省と県、4市町が2021年から進めてきた。

 コースは八戸駅を起点に西へ延びる。国宝のよろいを所蔵する櫛引八幡宮(八戸市)や、北東北最大の戦国大名・三戸南部氏の拠点だった国史跡・聖寿寺館しょうじゅじたて跡(南部町)沿いを歩き、地域の歴史を体感できる。五戸町の田園風景に癒やされ、十和田市の奥入瀬渓流や十和田湖といった大自然に包まれたあと、終点の十和田神社にたどり着く。都市から自然への移り変わりを楽しめるのが魅力だ。

 23日には、奥入瀬渓流温泉から道の駅奥入瀬の約15キロ・メートルを歩くイベントが行われ、県内外から約60人が参加。参加者たちは道路脇の雪と紅葉のコントラストを楽しみながら歩いた。参加した八戸市の郵便局長(57)は、みちのく潮風トレイルも岩手県宮古市まで歩いた経験があるといい、「普段通る道も歩いてみると、四季の変化に気付くことがある。新たなロングトレイルでは地元の魅力を再発見したい」と話していた。

地域創生も期待

 八戸市内では24日にシンポジウムが開かれ、ルート上の自治体が地域の見所をPRし、トレイル開通による訪問客増加や産業の振興に期待を寄せた。

 みちのく潮風トレイルの整備などを行うNPO法人「みちのくトレイルクラブ」は、ハイキングが盛んな欧米豪から多くの外国人が訪れていることや、宿泊することによる経済効果を紹介した。同NPOの相沢久美常務理事は「道を歩くとその土地のファンが増え、移住や地域創生にもつながる」と話した。

 ウォークイベントとシンポジウムにゲストで参加したプロアドベンチャーレーサーの田中陽希さんは「トレイルは、見知らぬ人と話したり、自然で無邪気に遊んだりするなど、本来の感受性を呼び戻すことができるのが魅力。ぜひ歩いてみてほしい」と呼びかけた。

 環境省は今後、運営計画の策定などを行い、大型連休前の試験開通を目指す。現在は仮称で「八戸十和田トレイル」としているが、コースを歩いた人や地元住民らから意見を募り、正式名称を決定するという。

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