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アマゾン、「お薦め」選出で不当圧力…公取委幹部「出品者がデジタル小作人になってしまう」

読売新聞 / 2024年11月27日 7時6分

 あらゆる商品をクリック一つで全国津々浦々に届ける通販サイト「アマゾンマーケットプレイス」で、運営するアマゾンジャパンが出品者らに対して不当な圧力をかけていた疑いが浮上した。国内シェア(市場占有率)が約3割に上る中、取引先との協議に応じず、契約内容が「ブラックボックス」であるケースも多いとみられ、公正取引委員会が実態解明を進める。

出品者 競争に

 マーケットプレイスで日用品や食品、衣料品などを検索すると、「お薦め商品」が一つだけ大きく表示される。近くには「今すぐ買う」「カートに入れる」などと記載された「カートボックス」が現れ、そのまま購入手続きに進むことができる。

 同じ商品の出品者が大勢いても別のページに移らなければ見られず、関係者によると、大半はお薦め商品から選ばれるという。お薦めに選出される基準は、価格の安さと配送のスピードのため、出品者は値下げ競争を繰り広げることになる。

 公取委は、アマゾン側が出品者に低価格を求めるなどしたほか、アマゾン側が運営する有料の物流サービスを利用するよう圧力をかけていたとみている。今後は、立ち入り検査で集めた資料などを分析し、行政処分を視野に入れて調査を進めていく方針だ。

 また、親会社の「アマゾン・ドット・コム」(米国)がこうしたシステムを構築した可能性もあり、公取委は独占禁止法に基づいて米アマゾンも調査する。米連邦取引委員会(FTC)は昨年9月に通販サイトを巡る問題で米アマゾンを提訴しており、欧州を含む海外当局の動きも参考にしながら、情報収集を図っていく。

何度も「不正」

 アマゾンジャパンは出品者などに圧力をかけたとして、これまでも公取委から複数回の調査を受けている。16年には自社サイトへの出品者に対し、「楽天」「ヤフー」などの通販サイトと比べ、価格や品ぞろえを同等か有利にするよう強要したとして立ち入り検査を受けた。翌17年にアマゾン側への優遇を求めた契約条項を撤廃したため、公取委も「自発的に不当行為を解消した」として調査を終えた。

 19年には、全商品を対象に購入額の1%以上を顧客へポイント還元する制度の導入を計画。出品者に原資の負担を強制する方針だったが、公取委の調査を受けて同年4月に「還元制度への参加は任意」と変更した。

 アマゾン側が自ら仕入れて販売している商品を巡っても、納入業者から取引価格の最大10%を協力金として徴収したなどとして、18年に立ち入りを受けた。20年に行政処分である「確約手続き」を適用され、被害相当額として不利益を受けた約1400事業者に約20億円を支払った。

 マーケットプレイスで化粧品などを出品する埼玉県の50歳代男性は「物流サービスの手数料が販売額の50%に達した商品もあった。本社に連絡しても、取引条件を巡る話し合いには、一切応じてくれない」と憤りを口にする。

 公取委幹部は「現在の安値は、出品費用の値下げや出品者との十分な協議に基づく価格ではない。弱い立場の取引先への圧力で実現したものとみられる。出品者が搾取されるだけの『デジタル小作人』になってしまう恐れもある」と話す。

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