1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

加古川の小2刺殺容疑者、17年前の事件を詳細に説明…元捜査員「初期の方向性に誤り」

読売新聞 / 2024年11月27日 9時0分

 17年前に兵庫県加古川市で小学2年の女児が刺殺された事件は、別の女児殺害事件で服役中の勝田州彦くにひこ容疑者(45)が逮捕されることになり、新たな局面を迎えた。ただ、物証や目撃証言に乏しく、県警は慎重に裏付け捜査を進める。

 2007年10月、7歳だった女児は自宅前の狭い路地で正面から襲われた。抵抗した際にできる傷はなかった。犯人については搬送時に「大人の男」と語ったが、直前に言葉を交わした家族や悲鳴で駆けつけた母親も不審な人物を目撃していなかった。

 県警は当初、顔見知りによる犯行の可能性が高いとみて捜査。周辺での聞き込みや防犯カメラ映像の精査を行ったが、手がかりは得られなかった。08年から2年間、解決につながる有力情報に最高300万円が支払われる対象となり、遺族らが毎年の発生時期に街頭でチラシを配ったが、情報は徐々に減っていた。

 元捜査員は「初期の方向性に誤りがあった」と語り、別の県警OBは「早い段階で暗礁に乗り上げてしまった。ずっと心に引っかかっていた」と振り返る。

似た手口

 県警は15年、同県姫路市で女子中学生の腹や胸を刺したとして、勝田容疑者を殺人未遂容疑で逮捕。女児らを狙う点などが共通しているとみて、この時期も任意聴取を行った。勝田容疑者は加古川市の事件について関与を否定したが、県警は捜査対象から外さなかった。

 勝田容疑者は18年、岡山県津山市で小学3年の女児(当時9歳)を刺殺したとして殺人容疑で逮捕された。当初は容疑を認め、「うその供述をした」と否認に転じたが、岡山地裁は22年、当初の供述の信用性を認め、無期懲役の判決を言い渡した。

 兵庫県警は今年5月、刃物で襲う手口が似ていることなどから、06年に同県たつの市で起きた女児刺傷事件と加古川市の事件について、収容先の刑務所で改めて任意聴取を開始した。勝田容疑者は7月、たつの市の事件への関与を認め、8月には加古川市の事件についても関与を供述。「女の子の後をつけて刺した」などと述べたという。

 県警は、津山市の事件も物証に乏しく、勝田容疑者の供述が立証の支えになったことを踏まえ、聴取の様子の録音・録画を実施した。

 ただ、凶器は見つかっておらず、防犯カメラ映像や目撃証言も少ない。捜査幹部は「17年前に見た光景などを詳細に説明しており、客観的な状況とも整合性は高い。新たに重要な証拠を見つけられるよう捜査を進める」と語る。

告白の手紙

 勝田容疑者は06~07年当時、加古川市内の実家で両親と暮らしていた。両親が亡くなり、現在は空き家となっている。近所の80歳代の女性は「子どもの頃は特別な印象がなく、中学時代はいじめられていたと同級生だった娘から聞いたことがある」と話す。

 勝田容疑者と高校の同級生だったという男性(46)は「目立つタイプではなかったが、席を譲るように頼まれても『嫌だ』と拒むなど強いこだわりがあった」と振り返る。

 勝田容疑者は今年8~9月、収容先からフリーライターに手紙を送っていた。たつの市と加古川市の事件について「自分がやった事なので、この前刑事に自供したんですよ」と記述。「途中から取り調べの雲行きが怪しくなって、加古川事件の方も言わざるをえなくなったんですよ」とつづっていた。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください