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万引きされた化粧品をベトナムに密輸か、SNSで勧誘し指示…違法保管容疑で関係4か所を一斉捜索

読売新聞 / 2024年11月27日 13時52分

 ドラッグストアで盗まれた化粧品を違法に保管していた疑いが強まり、警視庁などは27日、埼玉、千葉、大阪の3府県にあるベトナム人の拠点など関係先計4か所を組織犯罪処罰法違反(犯罪収益収受)と窃盗容疑で一斉捜索した。ベトナムにいる指示役から依頼を受けたメンバーが、万引きや盗品の保管、発送と役割分担して日本の化粧品などを不正に輸出しているとみて実態解明を急ぐ。

「稼げる」

 捜索が行われたのは、埼玉県坂戸市の空き店舗と千葉県の住宅2軒、大阪府のマンション一室。ベトナム語の看板がかかる坂戸市の空き店舗には午前7時45分頃、警視庁の捜査員ら約20人が次々と入った。

 捜査関係者によると、端緒は7~8月、東京都板橋区と愛知県豊川市のドラッグストアで化粧品を大量に盗んだなどとして、警視庁と岐阜県警にベトナム人の男女計4人が窃盗容疑で逮捕された事件だった。

 警視庁が被害品の流れを調べたところ、4人がコンビニ店に持ち込み、今回捜索を受けた4か所に発送していたことが判明した。4人はいずれも不法滞在で、ベトナムのSNS「ザロ」で知り合った本国の指示役から「万引きで稼げる。やってみない?」と誘われたなどと話しているという。

商品を指定

 指示役は万引きの実行役に、化粧品の「資生堂エリクシール」、ビタミン剤の「アリナミン」、の治療薬「ボラギノール」など具体的な商品を指定。送り先の住所もSNSで伝えていた。実行役が盗品を発送後、宅配便の伝票の写真を送信すると、報酬が振り込まれていた。

 盗品の保管先だったとみられる坂戸市の空き店舗などには、複数の仲間が出入りしており、盗品は千葉・成田空港に運ばれた後、別の仲間に引き渡され、一般の航空貨物としてベトナムに空輸されていたという。

 警視庁は、指示が出されているSNSのアカウント名などから、過去に日本国内で窃盗事件を起こして強制送還されたベトナム人を含む、複数の男女が指示役として関与しているとみている。盗品はベトナム国内の通販アプリなどで売却されているとみられる。

 警察庁によると、1件当たりの被害額が10万円を超えるドラッグストアでの大量万引き事件は昨年、全国で1119件発生。今年上半期(1~6月)の被害も446件に上り、約6割は関東地方に集中していた。摘発された49人の国籍はベトナムが最多の25人で、日本23人、米国1人だった。

 警察庁は、組織的窃盗を繰り返す外国人グループを「匿名・流動型犯罪グループ」(トクリュウ)と位置づけ、7月、全国に捜査体制の強化を指示している。

役割分担

 ドラッグストアの運営会社約120社が加盟する「日本チェーンドラッグストア協会」(東京)によると、外国人窃盗団には化粧品やサプリメントなど、小さくて高価な商品をかばんに入れる手口が目立つ。複数人で来店し、実行役、見張り役、店員の「引きつけ役」など役割を分担して、短時間で大量の商品を盗むのが特徴だという。

 同協会の担当者は「来店者への積極的な声かけや、店内巡回を呼びかけているが、店側の対策には限界がある。警察に摘発を強化してほしい」と語った。

化粧品・サプリ、日本製人気

 ベトナムでは日本製品が人気で、SNSで売買されている。フェイスブック上で「日本」「化粧品」とベトナム語で検索すると、複数アカウントが湿布薬や健康ドリンク、サプリメントなどを出品していた。中にはメーカーの希望小売価格より安値の商品もあり、捜査関係者は「盗品が流通している可能性がある」と指摘する。日本国内では近年、衣料品店「ユニクロ」を狙ったベトナム人による窃盗事件も各地で起きている。

 警察庁によると、昨年には、衣料品店での大量万引き事件に関与したとして、ベトナム人4人が摘発された。短期滞在ビザでの入国が目立ち、警察は現地当局と連携して流通経路の特定を進めている。(ハノイ 竹内駿平)

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