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イスラエルとレバノンが停戦合意、60日の戦闘停止へ…ネタニヤフ氏「ヒズボラが違反すれば攻撃」

読売新聞 / 2024年11月27日 11時46分

26日、テレビ演説するイスラエルのネタニヤフ首相=イスラエル政府提供、AP

 【ワシントン=池田慶太、エルサレム=梁田真樹子】米国のバイデン大統領は26日、イスラエルとレバノンを拠点とするイスラム教シーア派組織ヒズボラの戦闘を巡り、イスラエルとレバノンの両政府が米国の仲介した停戦案を受け入れたと発表した。60日間の戦闘停止などが柱で、停戦は現地時間27日午前4時(日本時間27日午前11時)に発効した。イスラエルとヒズボラの双方が合意を履行するかどうか注目される。

 バイデン氏はホワイトハウスでの記者会見で、イスラエルとレバノンの国境付近で1年余り続いてきたイスラエルとヒズボラによる戦闘終結を表明。「敵対行為の恒久停止」を目的とした合意だと強調した。これに関し、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相はテレビ演説で、停戦案を受け入れる意向を明らかにした。イスラエル首相府は治安閣議で停戦案を承認したと公表した。

 ネタニヤフ氏は演説で、「ヒズボラが停戦合意に違反し、再武装しようとする場合は攻撃する」と警告した。バイデン氏もイスラエルの「脅威」となる合意違反が確認されれば、イスラエルが「自衛の権利」を行使できるとの認識を示した。

 米政府高官やロイター通信によると、停戦合意では、イスラエル軍がレバノン国境付近から段階的に撤退し、ヒズボラもレバノン南部のリタニ川以北に撤退する。国境付近にはレバノン軍が展開し、ヒズボラの重火器を撤去する。こうした動きを60日以内に完了させる。

 米国と、レバノンの旧宗主国フランスが国連レバノン暫定軍(UNIFIL)などで構成する既存の枠組みに加わり、米国が中心となって停戦違反がないかどうか監視する。バイデン氏とマクロン仏大統領は共同声明で、合意の完全な履行に取り組む考えを示した。

 イスラエルとヒズボラは昨年10月以降、交戦してきた。ヒズボラはパレスチナ自治区ガザのイスラム主義組織ハマスとの連帯を掲げている。ネタニヤフ氏は演説で、停戦を受け入れた理由について、イランの脅威に集中する▽軍の休息や武器の供給を確保する▽ハマスを孤立させる――の3点を挙げた。イランは今年4月と10月、イスラエルを直接攻撃した。

 ヒズボラはイランが後ろ盾だが、イスラエルの空爆で指導者ハッサン・ナスララ師(当時)を殺害されるなど弱体化が指摘されており、余力を残して停戦に応じる思惑があるとみられる。レバノン国営通信によると、ナジブ・ミカティ首相は26日にバイデン氏と電話で会談した。合意を歓迎し、交渉仲介への謝意を伝えた。

 イスラエルとヒズボラの戦闘でイスラエルでは北部の住民が避難生活を強いられ、レバノン保健省によると、レバノンでは3800人を超える死者が出ている。

 一方、ガザでは戦闘が続き、人道状況の悪化も指摘される。バイデン氏は今回の合意がイスラエルとハマスの停戦協議の進展につながることに期待感を示した。

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