訪日客の「免税で購入し国内で転売」横行…26年度にも「出国時に消費税払い戻し」に変更へ
読売新聞 / 2024年11月27日 15時0分
政府・与党は、訪日観光客に適用される消費税の免税制度について、2026年度にも、出国時に国外へ持ち出す商品を確認して消費税分を払い戻す「返金(リファンド)方式」に変更する方向で調整に入った。現行制度では日本国内での購入時に免税しており、その後に転売するなどの不正が横行していると指摘されているからだ。免税対象となる化粧品や食品などの消耗品の上限額を撤廃するなど、訪日客の利便性向上にも配慮する。
与党の税制調査会が詳細を詰め、今年末にまとめる25年度税制改正大綱に盛り込む。
返金方式では、訪日客は国内の免税店で商品を購入する際にいったん消費税込みの金額を支払う。その後、出国時に空港などの税関で購入品の国外への持ち出しを確認し、事前に登録したクレジットカードや現金で返金する方法を想定している。欧州などでは一般的な制度で、持ち出しを確認できなければ免税しないため、国内での転売などの防止につながることが期待される。
現行制度では、衣類などの「一般」と化粧品や食品などの「消耗品」に分かれている免税品の区分をなくし、消耗品の購入に設けられている50万円の上限額は撤廃する。免税店の事務負担に配慮し、開封したことがわかる特殊なテープなどを包装に使う規定も廃止する方針だ。
政府は、与党が税制改正大綱に盛り込み、関連法案が成立した後、免税販売の管理システムの改修などを行い、26年度にも新制度を開始することを目指す。
現行制度では、訪日客は6か月以内の国内滞在なら、免税店でパスポートなどを提示すれば消費税抜きの価格で商品を購入できる。だが、購入した商品を国内滞在中に転売し、免税された消費税分との利ざやを稼ぐ不正行為が横行していると指摘されている。
税関の調査では、22年度に1億円以上の免税品を購入して出国した374人のうち、税関が購入を把握して検査できたのは15・2%の57人にすぎず、ほとんどの人は無申告で出国していた。免税品の検査をした57人のうち、56人は持ち出しなどを確認できず、消費税を支払う必要があったが、55人は納税せずに出国し、滞納額は18・5億円に上ったという。
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