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歩行者と二輪車専用の文化財「日野橋」、老朽化で撤去には28億円・維持には100年で71億円

読売新聞 / 2024年11月28日 10時3分

大山をバックにした景観が親しまれている日野橋(米子市で)

 老朽化が進み、存廃が論議されている鳥取県米子市の国登録有形文化財「日野橋」について、米子市は当面の維持に約13億5000万円、撤去に約28億円がかかるとした試算をまとめた。市は来年1月にも、市民3000人を対象に、費用の試算結果を示して今後のあり方を問うアンケート調査を行う。(立山光一郎)

 市によると、日野橋は部材の腐食、損傷が進行。2025年度から2年をかけ、補修とポリ塩化ビフェニール(PCB)を含む塗料を除去する修繕工事を行うことが決まっている。

 この工事費を約13億5000万円と試算。その後、大規模修繕などで20年ごとに約14億4000万円、今後100年間維持するには計約71億円が必要とした。

 一方、撤去には約6年の工期と事業費約28億円を見込む。

 市は、土木や文化財の専門家、公募の市民らでつくる「日野橋の在り方検討委員会」(委員長=福山敬・鳥取大教授)を発足させている。今月19日の第3回委員会で試算結果を報告し、アンケート案を示した。

 無作為抽出した18歳以上の3000人に調査票を配布してアンケートを実施。「市が誇る歴史的な建造物か」「市のシンボルにふさわしいか」などを問う。

 また、維持費や撤去費の試算結果を示しながら存廃について尋ねる。一方、橋の近くの住民を対象に意見を聞く場も設けるという。

 集計結果などは、来年3月頃に開く次回委員会に報告する予定。市道路整備課は「広く市民の意見を聞く方法としてアンケートを選んだ。結果を検討委に提供して議論を尽くしたい」としている。

日野橋=1929年開通。全長366.6メートル、幅員6.75メートルで、現在は歩行者と二輪車専用。三角形に組み合わせた部材で強度を増した「トラス橋」の道路としては、県内最大・最古という。「国土の歴史的景観に寄与している」として2003年、国登録有形文化財となった。

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