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ヒズボラ停戦 ガザの紛争終結につながるか

読売新聞 / 2024年11月28日 5時0分

 暴力の停止で合意したことは歓迎するが、中東全体に平和と安定をもたらすには程遠い。

 今回の合意を契機に緊張緩和を関係国に広げ、パレスチナ自治区ガザの戦乱終結につなげられるかが焦点だ。

 イスラエルと、レバノンを拠点とするイスラム教シーア派組織ヒズボラが停戦を受け入れた。米仏が仲介したとされる。

 イスラエルはレバノン南部から軍を段階的に撤退させる。ヒズボラは、イスラエルとの国境から約30キロ北まで後退する。レバノン軍が国境付近に展開し、ヒズボラの重火器を撤去する。これらを60日以内に完了させるという。

 イスラエルは、9月にベイルートを空爆してヒズボラの最高指導者を殺害した。軍事力も弱体化させたことで、当面の脅威は除去できたと判断したのだろう。ヒズボラには、態勢を立て直す時間が必要だったようだ。

 イスラエルとヒズボラの戦闘は昨年10月、ガザのイスラム主義組織ハマスがイスラエルを越境攻撃したことがきっかけで始まった。ハマスとの連帯を表明しているヒズボラは、ロケット弾などでイスラエルを攻撃した。

 これに対しイスラエルは、18年ぶりにレバノン南部へ侵攻し、地上作戦に踏み切った。レバノンの死者はこの1年あまりで3800人を超えた。

 停戦は実現したものの、イスラエル、ヒズボラともに敵意を弱めたわけではない。

 停戦が着実に履行されるよう、国連は現地で監視活動を行っている国連レバノン暫定軍(UNIFIL)の体制を強化すべきだ。米仏両国は、暫定軍の支援にあたってもらいたい。

 今回の合意が重要な一歩であるのは間違いないが、ガザでは依然、戦乱が続いている。住民は食料の入手が困難で、一部地区では飢饉ききんの広がりが懸念されている。

 それでもイスラエルのネタニヤフ首相は、攻撃をやめるつもりはないようだ。ガザ住民を長期にわたって窮地に追い込むネタニヤフ氏の横暴ぶりは目に余る。

 ネタニヤフ氏は今回の停戦の狙いについて、イランの脅威に集中するためだ、と述べている。

 イスラエルとイランは互いの領土をミサイルで攻撃し合うなど一触即発の危機にある。両国は、強く自制を働かせるべきだ。

 中東情勢を巡り、日本が何ら外交力を発揮できていないのは残念だ。少数与党内閣であることが、何もしない口実にはならない。

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