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臨時国会開幕 選挙の公平どう保つか論じよ

読売新聞 / 2024年11月29日 5時0分

 臨時国会が開幕した。山積する政策課題への対処や、政治資金の透明化の議論はもちろん重要だが、緊急を要するテーマはほかにもある。

 国政、地方を問わず目立ち始めた選挙を巡るひずみだ。真偽が不確かな情報もあるSNSが大きな影響力を持つようになった。自らの当選を目指さない立候補といった想定外の事態も起きている。

 民主主義の根幹である選挙への信頼が揺らげば、国権の最高機関である国会の権威も失墜しかねない。与野党は、選挙の公平性や、SNSの活用のあり方について議論を深めるべきだ。

 先の兵庫県知事選では、政治団体・NHKから国民を守る党の立花孝志党首が「知事になるつもりはない」と公言して出馬した。

 立花氏は、出直し選に臨んでいた斎藤元彦知事の街頭演説の前後に同じ場所で演説を行い、斎藤氏を擁護する主張を展開した。

 公職選挙法は、選挙活動の妨害を禁じている。だが、他候補を支援するための立候補を制限する条文はない。立花氏の出馬は、現行法の盲点を突いたともいえる。

 一方で公選法は、1人の候補者が使える選挙カーの台数やポスターの枚数を制限している。

 知事選で敗れた陣営は、立花氏の「応援」で斎藤氏の運動量は事実上、2倍になったと批判している。立花氏は自主的に活動したというが、斎藤氏の返り咲きを後押しした可能性は否定できない。

 また、SNS上では「斎藤氏によるパワハラはなかった」といった投稿が相次いだが、斎藤氏自身は机をたたくといった行為は認めており、反省の弁も述べている。

 SNSでは、一部の人の主張が真偽を問われることなく、まるで多数の意見であるかのように拡散することが珍しくない。

 街頭演説などの動画を配信して再生数を稼ぎ、広告収入を得ようとする人もいる。実際、兵庫県知事選では立花氏らの演説を利用して収益を得た例があるという。

 公正であるべき選挙をおとしめるような事例も無視できない。

 7月の東京都知事選では、NHK党が選挙の掲示板にポスターを貼る権利を事実上、販売した。その結果、風俗店の広告など選挙と無関係なポスターが氾濫した。

 与野党は9月、掲示板の営利目的での利用を禁じる改革案をまとめたが、衆院解散によって法改正は先送りされた。

 来年には東京都議選や参院選が予定されている。現状を放置したら混乱は広がる一方となろう。

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