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ペットと高齢者 世話が難しくなる時も考えて

読売新聞 / 2024年12月2日 5時0分

 ペットを飼うことで、生活に安らぎを得る人は多いだろう。ただ、高齢者の場合は、病気などで世話が難しくなるケースもある。そうした事態に備えることも大切だ。

 一般社団法人ペットフード協会の昨年の調査によると、全国で飼育されている犬は680万匹、猫は900万匹で、ペットを飼っている世帯は全体の1割に上る。

 高齢者に犬や猫を飼う効果を尋ねたところ、「生活が楽しくなった」「心穏やかに過ごせる」との回答が目立ったという。

 犬の飼い主は、飼っていない人に比べて認知症のリスクが40%低いという研究結果もある。犬の散歩で運動する習慣がつくうえ、その際に出会う飼い主同士で会話が生まれやすいためだとされる。

 独り暮らしの高齢者が増えている。かけがえのない家族として愛情を注ぐ人も多いに違いない。

 ただ、高齢化に伴って、体力が衰えたり、病気やケガで入院したりして世話ができなくなることもあるので、注意が必要だ。

 動物愛護管理法は、ペットが寿命を終えるまで適切に飼育するよう求めている。餌やりやトイレといった身の回りの世話に加え、感染症対策や不妊手術など飼い主が果たすべき役割は少なくない。

 日常生活を問題なく送れる健康寿命の平均は、男性が72歳、女性が75歳とされる。一方、犬や猫の平均寿命は15年前後だ。

 ペットも晩年は介護を要することが珍しくない。自分の年齢を踏まえ、面倒を見切れるかどうか、飼う前によく検討してほしい。

 犬や猫を飼うと、餌代や医療費などで1匹あたり250万~150万円程度の費用がかかる。金銭的な負担についても、事前に考えておくことが大事だ。

 高齢になるほど、寿命の長い子犬や子猫を飼い始めるのは難しくなる。そうした場合は、成犬や成猫を迎えることも検討したい。

 飼い主は、自身の入院や死亡といった事態に備えておく必要がある。親族に頼むなど、あらかじめペットを託す先を決めておくべきだ。有料で世話をしてくれる施設や、新たな飼い主を探してくれる団体に相談する方法もあろう。

 ペットが増えすぎて面倒を見られなくなる「多頭飼育崩壊」が問題化している。飼い主と連絡がつかず、家には80匹近い猫や排せつ物が放置されていた例もある。

 各自治体は高齢者宅を訪問する介護事業者らと連携し、実態把握に努めてもらいたい。飼い主が相談できる仕組みも欠かせない。

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