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動物実験が難しいB型肝炎、マウスでの再現成功…感染マウスを使った実験で新薬候補も見つかる

読売新聞 / 2024年12月2日 14時0分

大阪大などの研究のイメージ

 根治が難しいB型肝炎について、マウスでこの病気を再現することに成功したと、大阪大と国立国際医療研究センターなどのチームが発表した。原因ウイルスを減らす新薬候補も見つけており、現在、治験も計画中だ。論文が国際科学誌に掲載された。

 B型肝炎ウイルスは血液や体液を通じて感染。肝炎を発症させ、慢性化すると肝硬変や肝がんにつながる。国内では110万~140万人の感染者がいるとされる。

 根治を目指せるインターフェロン注射薬はあるが、副作用が強い上、一部の患者にしか効かない。また、症状を抑える内服薬はあるが、ウイルスが肝細胞の核の中に入り込んで居座るため、一生飲み続ける必要があった。

 よりよい新薬の開発が求められているが、このウイルスは人以外にほとんど感染しないため動物実験が難しいという課題があった。

 阪大の小玉尚宏助教、竹原徹郎教授らは遺伝子操作の技術を駆使し、B型肝炎ウイルスが持続感染した状態をマウスで再現することに成功。このマウスの免疫状態を調べると、免疫細胞の機能が低下してウイルスの増加を抑えられず、肝炎が慢性化していることがわかった。

 チームは住友ファーマなどが開発中の、免疫を活性化する薬剤に着目。マウスで効果を検証すると、免疫細胞の機能が回復して数が増え、血液中のウイルス量が4日間で10分の1に減った。人に応用できれば、一定期間の投薬で根治に持ち込める可能性があるという。

熊本大の田中靖人教授(消化器内科学)の話「マウスで実験ができるようになったことは有用だ。今回のような免疫に関する治療法と、ウイルスの遺伝子を標的にした治療法を併用できるようになれば、根治の可能性が広がるだろう」

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