著名人が後押しコメント添えた1冊、高校生に20歳までの間貸し出し…「人生の節目に読み返して」
読売新聞 / 2024年12月2日 15時45分
言葉で若者を応援しようと、宮崎県西都市で市内唯一の高校・県立妻高に通う生徒たちに、20歳までの数年間、本を1冊貸し出す取り組みが始まった。市出身の著名人らが「人生の選択に直面した時に読み返してほしい」と選んだ本で、メッセージも添えられている。「20歳を祝う会」で帰省する際の返却を想定しており、主催する市などは、地元に思いを寄せるきっかけにもなればと期待している。(浜崎大弥)
米良美一さん・オカリナさんらゆかりの人選書
県中央部に位置する西都市はピーマンをはじめとした施設園芸を中心に農業が盛んで、国特別史跡の西都原古墳群で知られる。市内に大学はなく、高校卒業とともに市外に転出する若者が多い。1960年に5万人を超えた人口は約2万7000人まで減り、高齢化率は39・5%(いずれも昨年10月時点)に上る。
「18歳の図書館」と名付けた今回の取り組みは、市内への移住を考える人らへの応援プロジェクトを進める一般社団法人「まちづくり西都KOKOKARA」と市が企画。「日本一長い貸し出し期間」と銘打っている。
市出身のカウンターテナー歌手米良美一さんやお笑いコンビ「おかずクラブ」のオカリナさんをはじめ、市にゆかりがある人を中心に、Jリーガーや元アイドル、パイロット、農家ら約60人が選んだ約250種類の本を用意した。
本はタイトルや著者がわからないよう1冊ずつブックカバーで覆い、背表紙に選者が付けたキーワードが記されている。例えば「無理をして生きてきた人」(加藤諦三著、PHP新書)という本のキーワードは「幸せになるために読む本」といった具合だ。ほかにも「心をタフにする本」「夢を追い続けたくなる本」「肩の力を抜く本」といったキーワードが並ぶ。本にはまた、「常に
将来の自分へ手紙
貸し出す対象は妻高の2、3年生約230人で、貸し出しに合わせて、将来の自分に向けた手紙を書いてもらうこともこの取り組みの特徴。高校時代の自分の心のうちや、なぜその本を選んだのかなどをつづってもらう。
手紙は主催者側がいったん預かり、地元で開催される「20歳を祝う会」が近づく時期に本人に発送する。高校時代の自分からの手紙に目を通し、本を改めて読み返してもらい、祝う会のために帰省したタイミングで返却してもらう仕組みとなっている。
本は貸し出し初日の10月29日から11月中旬まで図書室に置かれ、対象者のほとんどが借りた。「大切な一節に出会える本」というキーワードの本を選んだ3年の女子生徒(17)は、卒業後銀行に就職するという。「社会人としてうまくやっていけるか不安がある。つまずいた時に支えになる文章に出会いたくて選びました」と語った。
市とKOKOKARAは「人生の節目に、かつて自分が書いた手紙や本を読み返し、次に進む力になればいい。地元に思いを寄せるきっかけにもしてほしい」と期待している。
若者の巣立ちに各地で取り組み
巣立ちの時を迎えた若者に本を届けて応援する取り組みは、長野県諏訪市でも行われている。岩波書店創業者・岩波茂雄氏(故人)の出身地で、2022年度から新成人に4000冊以上から好きな1冊を選んでもらい贈呈している。
市図書館の柴田有姫主事は「本を読むことは、知識や知恵の種を自分の中に植えることで、いつかそれが芽吹く」と期待する。
03年から生後3~4か月の子どもに絵本を贈っている東京都西東京市は今年1月、「二十歳のつどい」の会場に20年前にプレゼントした絵本を並べ、心に残っている本を選んでもらうイベントを行った。
市中央図書館司書の小笠原咲菜さんは「本を読んだ記憶はうれしかったこと、楽しかったこと、悲しかったことなど、その時の感情も呼び起こす。悩んだ時に力になる」と話した。
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