ロシア軍事費・治安対策費は国家予算の4割、ウクライナは国防関連6割…いずれも相次ぎ増税
読売新聞 / 2024年12月2日 20時32分
ウクライナを侵略するロシアと、抵抗するウクライナでそれぞれ2025年予算案が成立した。治安対策などを含む国防関連予算は、ロシアで前年比で約20%増の約17兆ルーブル(約24兆円)、ウクライナで同約30%増の約2兆2000億フリブニャ(約8兆円)を計上した。侵略の長期化は、両国の財政を圧迫している。
プーチン露大統領は11月30日、予算案を承認した。露独立系英字紙「モスクワ・タイムズ」などによると、軍隊の維持や兵器の調達などの軍事費が13兆5000億ルーブル、警察や国境警備隊など治安対策費が約3兆5000億ルーブルで、両項目で歳出総額の41%を占めた。ロイター通信によると、対国内総生産(GDP)比で6・3%に達する。
露軍の定員増加や、兵器の増産などが影響しているとみられる。露国防省は、侵略前の生産量と比べ、砲弾が17・5倍、無人機が17倍、戦車が5・6倍に増えたと主張している。
ロシアは膨張する国防関連予算の財源を、増税や他分野の予算削減でまかなおうとしている。25年から法人税が20%から25%に引き上げられ、個人所得税も年間所得500万ルーブル超を対象に増税される。ロシア経済に詳しいカーネギー国際平和財団の専門家は「公共事業は資金不足になっているが、増税分はすべて軍事費に回される」と指摘する。
一方、ウクライナでも11月28日、25年の予算が成立した。ロイター通信によると、全体の歳出3兆6000億フリブニャのうち、国防関連予算は約6割を占める。対GDP比では26%に達する。
今月から「戦争税」を導入し、個人所得税を1・5%から5%に引き上げ、銀行の利益に50%の税を課すなど金融機関に負担を求める。それでも歳入は2兆500億フリブニャにとどまる見通しだ。不足分は外国の財政支援が前提の「綱渡り」の予算となっている。
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