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今井正人・柏原竜二・神野大地…箱根路の歴史に刻まれた「山の神」、近年の5区は記録ラッシュに

読売新聞 / 2024年12月18日 6時10分

5区の「山の神」たち。左から、神野大地、今井正人、柏原竜二

 第101回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)が2025年1月2、3日に行われる。往路の注目の一つが5区の「山登り」だ。

 日本陸上競技連盟公認の長距離競走路では、スタートとフィニッシュの2点間の標高差は1000分の1以内(1キロあたり1メートルを超えてはならない)と決められている。それを考えれば、20キロ余りで800メートルの高低差がある箱根駅伝の5区が、いかに過酷であるかがわかる。小田原中継所から箱根の芦ノ湖までの20・8キロで繰り広げられる5区は、幾多のドラマ、そして数々の名選手を生み出してきた。

 山登りのスペシャリストとして最初に名をはせたのは、大久保初男さん(大東文化大)だ。第51、53回大会で区間新記録を樹立するなど、第50回大会から4年連続で区間賞を獲得し、「山の大東大」の先駆者となった。

 1980年代は第59~62回大会の木下哲彦さん(早稲田大、現姓は金)、90年代は第66~69回大会の奈良修さん(大東文化大)が輝いた。

 そして、過酷な坂を大逆転の舞台に変えて、「山の神」と言う言葉が知られるきっかけとなった選手が今井正人さん(順天堂大)だ。1年生では花の2区を走り、2年生だった81回大会(2005年)では現在とほぼ同じ距離の20・9キロの5区で11人抜きの快走をみせ、1時間09分12秒という驚異的なタイムをたたき出した。

 5区が現在よりも2・6キロ長い23・4キロだった時代、4年連続で区間賞を獲得したのが、柏原竜二さん(東洋大)だ。1年生だった第85回大会(09年)に8人抜きの区間新で箱根デビューを飾ると、2年生でも区間新、4年生の時には1時間16分39秒の区間新記録でチームを4年間で3度の総合優勝(完全優勝2度)に導いた。

 今井さん、柏原さんに続いて「山の神」と言われたのが、神野大地さん(青山学院大)だ。3年生の時の2015年、91回大会(23・2キロ)では、驚異的なスピードで46秒差あった前の走者を抜き去り、1時間16分15秒のタイムでチーム初の総合優勝(完全優勝)に貢献した。翌年も区間2位の記録でチームは2年連続の完全優勝、神野さんは「常勝青学大」の象徴となった。

 2017年の第93回大会から、5区は現在の距離(20・8キロ)になった。94回から96回大会まで3年連続で、区間記録が塗り替えられた。

 近年は記録ラッシュの5区となっている。2年前の99回大会では区間賞の山本唯翔選手(城西大・1時間10分4秒)、区間2位の四釜峻佑選手(順天堂大・1時間10分19秒)の2人が、第96回の宮下隼人選手(東洋大)の記録を3大会ぶりに破る区間新記録を作り、同3位の阿部陽樹選手(中央大・1時間10分36秒)、同4位の山川拓馬選手(駒沢大・1時間10分45秒)を合わせた4人が現在のコースになってからの10傑入りを果たした。

 そして前回の100回大会では、城西大の山本選手(区間1位、1時間9分14秒)と青学大の若林宏樹選手(同2位、1時間9分32秒)がともに区間新記録となる1時間9分台の快走を見せた。

 山本選手(現・SUBARU)は、1年生の時にも5区で区間6位と好走。「山の神」ならぬ「山の妖精」の異名をとった。大学周辺の山道の薄暗い練習コースを白いキャップ姿の選手が軽快に駆け上がっていく。闇に白い帽子がぼんやり浮かび上がる、その光景から名付けられたのだという。

 5区と6区は、「函嶺洞門」の通行禁止によって、91回大会からバイパスを走るコースに一部変更された。そのため、柏原竜二さん(東洋大)らの記録など、90回大会以前の5区、6区、往路、復路、総合記録は参考記録となった。91回大会を前にコースの再計測が行われ、5区は200メートル短くなって23・2キロに。その後、93回大会から往路の4区と5区の距離が変更され、5区は2・4キロ短縮されて20・8キロになり、4区は20・9キロに延びた。(デジタル編集部)

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