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プレステ30年で販売5億台、ソニーのエンタメをけん引…高価格化でユーザー離れに課題

読売新聞 / 2024年12月3日 18時56分

東京ゲームショウで展示された「プレイステーション5プロ」(左)(9月26日、千葉市美浜区の幕張メッセで)=若杉和希撮影

 ソニーグループの家庭用ゲーム機「プレイステーション(PS)」が3日、初代モデルの発売から30年を迎えた。高画質な映像がファンの心をとらえ、シリーズ累計販売数は5億台超と世界的なヒット商品に。一方で高価格化や急成長するパソコン向けゲームとの競合が課題で、ユーザー拡大に向けた戦略が問われる。(田中俊資)

 「ソフトメーカーは完璧な塩対応で、ソニー社内ですら誰も成功すると思ってなかった」。「生みの親」として知られる元ソニー副社長の久多良木くたらぎ健氏は9月の東京ゲームショウで講演し、そう振り返った。

 初代PSは1994年12月3日発売。子供向け玩具という位置付けだったゲーム機をエンターテインメントへ発展させようと、久多良木氏らを中心に開発を進めた。「高級パソコンに匹敵する処理速度と画質、音質を持つ次世代機」と表現され、鮮やかなコンピューターグラフィックス(CG)が特徴だった。

 宣伝では大人も楽しめるイメージを打ち出し、ユーザーの幅を広げた。「バイオハザード」などの名作ソフトは現在も続編が出ている。他社機向けに作られていた「ファイナルファンタジー」「ドラゴンクエスト」のPS版も登場、人気を不動のものにしていった。

 PSは新型機の度に最新技術を導入し、「ハイエンドなゲーム機」として差別化を図ってきた。PS2はまだ普及前だったDVDプレーヤー機能を搭載。最新のPS5では高精細な8K映像に対応している。

 ソニーグループはPSの成長とともに事業の軸足を家電からゲームや音楽などのエンタメに移し、売上高に占めるゲーム事業の割合は32%(2024年3月期)に拡大している。

 一方で課題もある。ハイエンドな性能を求めるコアユーザーにとって、ゲーム向けPCが競合となっているほか、高価格化によるユーザー離れも懸念材料だ。初代PSは約4万円だったが、最新のPS5は7万9980円まで上昇した。

 ファンの年齢層も高めで、任天堂の「ニンテンドースイッチ」は10代後半のユーザーが最も多いのに対し、PS5は40代前半が多く、ユーザーの先細りにつながる可能性もある。ファミ通ドットコム編集長の三代川正氏は「初心者や子供がPSに手を出しにくくなっており、ユーザーの幅を広げる必要があるのではないか」と指摘する。

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