堀田力さん、脳梗塞で倒れ「ざんねんでやるせない」…最後まで「挑戦」驚きの回復
読売新聞 / 2024年12月4日 8時52分
戦後最大の疑獄といわれるロッキード事件を捜査した元東京地検特捜部検事で、退官後は公益財団法人を設立して福祉活動に尽力した堀田力(ほった・つとむ)氏が老衰のため、11月24日に死去した。90歳だった。葬儀は近親者で済ませた。喪主は妻、明子さん。後日、お別れの会を開く予定。
[評伝]人生を「3度生きた」
その記憶力には驚いた。
日米の政財界の利害が複雑に絡み、司法や時効の壁が立ちはだかったロッキード事件。捜査について尋ねると、机の上にたまたまあった小さな付箋を手でもてあそびながら何も見ず、半世紀前の事件の詳細を
司法の世界で30年、福祉の世界で30年――。「人生を2度生きた」といわれるが、「3度生きた」のではないかと思う。
3度目の人生は、2022年暮れに脳
<えー? なんで??? なんで私がこんな目に合うの?!!!>
そんな言葉から始まる日記には、残り少ない人生最後の大仕事として子育て支援の充実に動き出したばかりなのに、倒れたのは<ざんねんで、何よりいっしょにやり出したなかまたちに申しわけなくて、何ともやるせない>とある。
日記には、戦争と神の話や、生きていても迷惑をかけるばかりと全身を押し潰す<黒い感情>、<絶望→自死直行の黒く強固なかたまり>のことも出てくる。
一方、黒い塊を不思議にとかす妻の抱擁や、抱擁から得られる生きる力こそ、赤ん坊や今の子どもたちに必要ではないかという考察もつづられている。
5回にわたる脳梗塞や持病の心臓病に苦しみながら、字を読む訓練を重ね、読書を楽しめるまでに回復した。リハビリへの努力と執念は周囲が驚くほど。様々な取材の依頼も受け、「文芸春秋」11月号に掲載された特集では、ロッキード事件について2時間弱にわたるインタビュー取材に応じた。
好きな言葉は「挑戦」。日記には<私がこうなるまで大好きだった言葉>とあったが、「時代を良くしたい」「社会の役に立ちたい」という夢に向け、最後まで挑戦を続けた生涯だった。(編集委員 猪熊律子)
東京地検特捜部で堀田さんの部下としてロッキード事件の公判を担当した弁護士の高野利雄さん(81)は、「ロッキード事件の捜査・公判での功績は語り尽くせないほど大きく、鋭い尋問で田中角栄元首相側の証言の矛盾を突く姿はまさに『カミソリ』だった」と振り返る。
堀田さんと最後に会ったのは今年4月の会食だった。「『ロッキード事件を一緒にやれたことが人生で一番よかった』と語っていた。不正や権力に切り込む強さと、困った人に手を差し伸べる優しさを併せ持ち、目標となる人だった。とても残念だ」。高野さんはそう言って別れを惜しんだ。
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