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ソウル市民ら大統領の辞職求める抗議や集会…旅行の日本人「不安な夜だった」

読売新聞 / 2024年12月4日 22時31分

4日、ソウルの国会前で警察官ともみ合う市民ら

 【ソウル=小池和樹】尹錫悦ユンソンニョル大統領による突然の「戒厳令」が解除された4日、韓国では政権に抗議するデモが各地で行われるなど、混乱が続いた。45年ぶりの戒厳令という異例の事態に、現地に滞在する日本人らにも動揺が広がった。

 「尹錫悦を打倒しよう」「弾劾だんがいだ」――。戒厳令が解除された4日、ソウル・汝矣島ヨイドの国会敷地内になだれ込んだ市民らは、本会議場の建物前に陣取り、尹大統領辞職を求めてシュプレヒコールを上げた。

 抗議活動は国内の主要都市に広がり、ソウル中心部の光化門では午後6時頃から、市民団体や労働団体が大規模な集会を開いた。

 ソウル市の会社員朴英パクヨンさん(27)は「夜遅くに奇襲のように戒厳令を出すなんて国民をバカにしている」と怒りをあらわにした。ソウル近郊・京畿道キョンギド崔昌吉チェチャンギルさん(69)は「戒厳令は大統領の思い通りにできるものではない」とあきれていた。

 軍事政権下の1979年10月以来の戒厳令は3日深夜に出され、午前4時半頃に解かれたが、一時は軍と市民との衝突も懸念された。

 韓国紙・東亜日報によると、ソウル市内では生活への影響を心配した市民らが深夜のコンビニ店に駆け込み、缶詰やインスタントラーメンなどを買い占める動きがあったという。ただ、一夜明けた4日は企業や学校は通常通りで、普段の通勤・通学風景が広がっていた。

 ソウル中心部の観光地・明洞ミョンドンでも、行き交う人々から驚きや不安の声が聞かれた。同僚らと旅行に訪れていた大阪市西区の会社員(33)は、「何かが起きるのではないかと不安な夜だった。早めに帰国することも検討したが、大きな混乱がないようで良かった」と話した。ソウル近郊に住む女子大学生(23)は「突然のことで驚いた。戒厳令の影響で韓国経済が混乱し、きちんと就職できるかが心配だ」とこぼしていた。

在日韓国人「日本のイメージ悪化懸念」

 日本に住む韓国人や日韓交流に携わる人たちも複雑な思いで見守った。

 東京都千代田区、韓国料理店経営田淙熙チョンジョンヒさん(60)は韓国南西部の光州市出身。高校時代、戒厳令のもとで、民主化を求める学生や市民と軍が激しく衝突した「光州事件」の現場に遭遇し、軍人が棒で市民を押さえつける様子も見たことがあるという。

 田さんは「二度と起きてはいけない事件だし、尹大統領が適切な理由もなく戒厳令を出したことは、韓国人として本当に恥ずかしい。日本で韓国のイメージが悪くならないだろうか」と表情を曇らせた。

 4日朝にニュースを知ったという豊島区、女性服販売キム・イムゴンさん(62)は「最近、韓国では日本の歌謡曲を歌うテレビ番組が人気で、両国の文化交流が深まったのを実感していた。水を差すことにならなければ良いが」と語った。

 韓国通で知られ、韓国の自治体から広報大使にも任命されている俳優の黒田福美さん(68)は「日韓の文化交流は政治が原因で崩されては、再び積み直す作業の繰り返し。(日本に融和的な)尹大統領の退陣につながれば、次の政権で日韓関係に影響が出ないか心配だ」と話した。

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