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北陸新幹線の敦賀―新大阪間延伸ルート選定が大詰め…財源や地元理解の行方は依然不透明

読売新聞 / 2024年12月5日 5時0分

石川県内を走行する北陸新幹線(今年3月撮影)

 北陸新幹線の敦賀―新大阪間の延伸に向けて、詳細なルートの絞り込みについての議論が大詰めを迎えている。自民、公明の与党議員で作る整備委員会が4日、沿線の関係者からの聞き取りを始めた。年内のルート確定に向けて議論を加速させる構えだが、財源や沿線自治体の理解など解決すべき課題は多く残り、来年度の着工には視界不良が続く。(鈴木瑠偉、黒木健太朗)

 ■知事「国の発展に不可欠」

 与党整備委が4日開いた会合には、福井県の杉本達治知事とJR西日本の長谷川一明社長が出席した。会合後に報道陣の取材に応じた杉本知事は、「延伸は国の発展に不可欠だ。着工に向けた議論を早期に解決してほしい」と訴えた。

 敦賀―新大阪のルートは2016年、福井県小浜市を経由する「小浜・京都ルート」とすることが決まり、現在は京都市内の駅の位置が異なる3案が議論されている。

 与党整備委は来年度末の着工に向けて手続きを急いでおり、13日に京都府などから意見を聞き取った上で、年内にも早急にルートを確定させたい考えだ。政府も25年度当初予算案に、工事に伴う地質や地下水などへの影響を調べる調査費を計上する見通しとなっている。

 ■最大5・3兆円

 ただ、北陸新幹線の延伸工事の着工には、最大5・3兆円とされる財源の確保が課題となる。

 北海道新幹線や九州新幹線なども含めた整備新幹線の建設費は、鉄道建設・運輸施設整備支援機構から施設を借りて新幹線を運行するJRが、鉄道収入で得られる利益の一部で負担し、残りは国が3分の2、沿線自治体が3分の1を支出するのが原則だ。4日の会合では出席者から「国土強靱きょうじん化に必要不可欠な国策新幹線で、国費で負担を」(杉本氏)など、地方負担の軽減を求める声が出た。

 ただ、政府の財政は厳しく、新幹線関連の予算を大きく増やす余地は少ない。

 財政制度等審議会(財務相の諮問機関)が11月末にとりまとめた建議では、新幹線の利用者の実績が開業前の予測を上回った場合、JRが貸付料を追加で負担する仕組みを導入することなどを求めた。貸付料が増えれば地方負担の軽減を図れるが、政府・与党内の議論やJR側との交渉が必要で実現は不透明な状況だ。

 ■地下水への影響

 新幹線の建設を巡っては、負担が重すぎるなどとして地方自治体が反発する例が目立っている。22年9月に開業した西九州新幹線は、長崎―武雄温泉間のみを走り、全国の新幹線ネットワークに接続できないままとなっている。佐賀県が巨額の財政負担などに反発しているためだ。

 財源以外の問題もある。北陸新幹線の延伸を巡り、京都府酒造組合連合会は今月、京都府などに対し、地下水に影響を及ぼさないルートの設定を国に求めることなどを要望した。京都市の松井孝治市長も4日の記者会見で、地下水への影響や財政負担などを懸念点として挙げ、「説得力のあるデータや根拠など、市民が安心できるという確信を与えてもらわなければ、当然(着工に)同意はできない」と述べた。

 「財源論以前に、あらゆるリスクを検証して円滑に事業が進められるよう地元の理解を得ることが最優先だ」(財務省幹部)との指摘も出ており、延伸工事の着工には、紆余うよ曲折も予想される。

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